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「おはようさん友哉。」 「おう、おはよう!」 次の日、友哉は教室に居た。今日は迷わずに登校したようだ。謙也達は朝練があったためギリギリで教室に入ってきた。 「……はよ。」 「…はよ……。」 白石も気まずそうにしながらも挨拶をしてきた。友哉は無視してしまいそうになったが、何とかこらえて返事をした。 「くっら!自分ら暗いで!」 何とも言えない空気をぶち壊す様に謙也がツッコんだ。 「うっさいなぁ、なんで謙也はそんな朝から元気なんだよ。その元気くれよ。」 「友哉ー、もしかしてまた朝は10秒飯やったんやろ。」 「そうですけど何か?何か問題でも。」 「アホかぁ!あれほど俺が、止めろ言うたのにッ!」 「黙れオk白石!お前の言うことなんざ誰が聞くか!」 「友哉も白石もどうどう、友哉も栄養になるもん食わんとあかんやろ?」 「栄養は入ってる。」 「腹の足しになるもん食えや。」 「………あ、そういえばさ。俺、このクラスに馴染めてねぇ?」 大きく話を逸らした。 「…なんでそう思うんや?」 「や、だってよ。転校生って普通質問攻めとかにあわねぇ?俺、昨日からそんなんないんだけど?」 ずっと謙也達とつるんでクラスの人、と言うか謙也達以外と話していない。 「あー…それはやな。」 「守本、自分。ここに着た瞬間なにした?」 「ぁあ?…なにしたっけ?普通に挨拶したんじゃね?」 すっかり忘れている。 「…自分、大暴れしたんやで?しかもそれぞれの学校しめとる奴をのめすっちゅー普通の奴には出来んようなことを。」 白石に指摘されて思い出した。 「あー……で、なんでそれが関係あんだよ。」 「誰も、そんな危険人物を相手にしとうないっちゅー話や。」 「マジでか!?うわー、過去の俺死ね!ここじゃ一般生徒として過ごせるかと思ったのによー!」 「立海じゃ、そういうわけにもいかんかったんか?一般生徒って…。」 「俺、有名人なんだぜ?まぁ、いやな意味で、関東の学校しめてるって聞いて近寄ってくるのはせいぜい力試ししてくる奴しかいないんだが…最近じゃ、誰も……。」 ハハハッ…と笑う。 「…流石の俺でもそれは同情するわ。」 「白石に同情されるのは、悔しいが…言い返せねぇ!」 「友哉は普通にええ奴なんやけどなぁ…話してみーひんと、分かんないんやろうなぁ…。やって脱色メッシュって外見だけでも近寄りがたいんやもんなぁ。」 確かに、そんな人物が転校して来たら距離を置くだろう。自らそんな危険区域に踏み込むことは普通しない。 「クッ、俺のアイデンティティ……、なんで謙也は避けられてねぇんだ!脱色でさらに一帯をしめてることになってんだろ!?」 「守本…元ヘタレが脱色したことで怯える奴がいると思うんか?さらにはしめとることも単なるガセや思うとる人も居るんやで?」 もっともなことである。 「俺もヘタレになるべきか?……ん?先公はそんな風には思ってないっぽいぞ?」 友哉がポロッと言った言葉に謙也は眉を顰めた。先生が一番にガセだと思っているだろうと予想していたからだ。 「は?それ、ホンマか?」 「マジマジ俺言われたもん、この地区一帯をしめている奴を制御してほしいって。」 「それ、そうしたの友哉やんなぁ!」 謙也は叫んだ。自分からこの道に足を突っ込んだんじゃないのに、ね。哀れ。 「だから先公には言ったぜ?俺のせいだってな。だから、まぁ…俺が帰る前までには謙也を解放してやんよ。」 「…どうやってや?」 「とりあえず、正式にあいつ等フルボッコにして、俺がここをまとめるってことにする。」 「やけど自分、関東に戻った後はどうするつもりや?」 「……考えとく。」 長い沈黙の後、言った言葉は考えておく。拍子抜けした白石は毒を吐いた。 「ハッ、やっぱり脳味噌足りとらんようやな。」 「黙れ白石ぃ!やんのかコルァ!」 「受けて立つで?あ?」 「二人共落ち着けや!これから授業やぞ!」 タイミングよくチャイムが鳴り、友哉と白石の間に始まりそうになった喧嘩は強制終了。 |
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