俺と僕とそれから | ナノ


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「ドあほぉ!誰が笑うか!笑えへんわ!!ええか、白石と友哉は全然違うやんか!そんなん共通点は一個しかあらへん!大きな力を持ってる所だけや!友哉はその力を使って幼馴染君を自殺に追い込んだんとちゃうやろ!」

自虐的に笑い始めた友哉に怒る。両肩を掴み目線を逸らせないようにまっすぐに向かい合う。

「ッ…俺の話聞いてたか!?俺はあの時朋樹を庇うことが出来たんだ!助けることができたのに、俺は一回朋樹にあんなことを言われたからって見捨てたんだ!どうにでもなっちまえって思ったんだよ!遅かれ早かれあんな事になるっていうのは分かってたんだ!なのに!俺は舎弟にもやめろなんて指示出さなかった!あん時俺がやめとけって一声掛けとけば朋樹はあんな目に遇わずに済んだんだ!なのに、俺は俺はッ…白石と同じようなものだ!あいつを追いつめたことには変わりはないんだ!」

「ちゃう!全然ちゃう!友哉はあれから後悔したんやろ?後悔してもしきれんぐらいに、そんで友哉は俺を助けてくれた!友哉は誰も死なせとらんし、俺を生き延ばさせてくれた。助けてくれた!俺はそれに救われた!それがどれだけ俺の救いになったか友哉は分からんのか?分かってくれるやろ?友哉はなんも悪ぅない。そんなに自分を責めんでもええんや。」

「………。」

「自分、強がっとるやろ。今までも同じように慰められたんとちゃうんか?その度に笑ってごまかして、過ごしてきたんとちゃうんか?ええんやで?泣いても、感情出せや?ここは関東とちゃう、友哉を知っとる奴なんてたかが知れとる。やから思いっきり泣きぃ?」

泣き?と両手を広げて友哉を待つ。

「…ッうゎぁああッ!」

タックルと言わんばかりの勢いで謙也の胸の中へと友哉は飛び込んだ。謙也はそんな感情が高ぶってる友哉を優しく抱きしめた。

「ゴメン。ゴメンンンッ!ああああああッぅああああああああ………ッ。」

「よしよし、ええんやで…たくさん泣いてすっきりしい。」



「……謙也さん…友哉さんどうしたんですか?」

白石との試合が終わったのか、財前が近づいてきた。そして疑問。あんなに強い友哉が声をあげて泣いているのが不思議でたまらない。

「あぁ…友哉はな、やっと昔の記憶から解放されたんや。」

「…昔の……。」

「せや、財前は知っとるんやろ?友哉の過去。」

「はい。」

「それで潰れそうになっとったところを俺が助けたっちゅー話や。これでお愛顧やんなー。」

「…そう、なんですか。」

「……守本が泣いとるんか?」

白石も財前と一緒に近づいていたようだ。

「ここでしか泣けれんのんや。友哉はずっと隠しとったんやもんな。偉いなー俺は泣き虫やから友哉みたいに強い人間やないわー。」

「うぅぅうううッ、じらいじーぐるなーっあっぢ向いでろバガァー…!」

天敵の白石だけには自分の弱いところを見せたくないようだ。

「………。」

それでも動かない白石。

「……謙也さん、部長をどこかに運んでくださいよ。俺が友哉さんの相手をしますから。」

「あ、あぁ…分かったわ。友哉、光にくっつき?」

「びばぶ?うぇぇええええッ!びがううぅううう!」

友哉はいいように扱われ、謙也から財前の元に。そして謙也は白石をつれてどこかに行く。そして満足そうな笑みを誰にも見られないように浮かべる財前。ポンポンと友哉の背中を叩いて、落ち着かせる。

「…………………。」

友哉さん友哉さん友哉さん。なんで俺やなくて謙也さんに感情を晒しとるんすか?なんで俺やないんすか?そんな友哉さんの弱いところ見ていいのは俺だけっすよね。俺以外に居る訳ないっすよね。なんでなんですか?なんで俺の前では泣こうとしなかったんですか?俺はこんなにも友哉さんのこと理解しとるのに、なんで俺には話さなかったんすか?謙也さんのどこがええんすか。友哉さんにはあんなヘタレ必要ないですやろ。…謙也さんを消せば俺だけを頼る様になってくれますかね?やったら喜んで俺は謙也さんを消すんやけど…。でも優しい優しい友哉さんは喜ばんのんですよね。悲しむんですよね。分かっていますよ。だって友哉さんのことですもん。知っていますよ。謙也さん命拾いしましたね。やけど…謙也さん?友哉さんを渡すつもりは一切ないですから、近づかんといて下さいね?

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