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「いやー……まさかこんな風に解決するなんて思ってなかったぜ。向こうからミスってくれるっつー…アハッとんだお間抜けだ。各学校の奴しめたのは無駄になったわけだが…まぁ喧嘩できたからいいとしよう。しっかし、こんなのがアリバイになるなんてな。証言者はマネを弁護したい弁護士さんたちだもんなぁ、確固たるアリバイだぜ。」 「友哉さん!」 友哉に駆け寄った財前。 「お、財前。見てたか?」 「はい…怪我とか無いんすか?」 心配そうな顔をする。 「ないない、俺強かっただろ?」 そんな心配無用だと、友哉は財前に言う。 「…はい。」 安心したようで財前の顔は柔らかくなった。 「で、だ。お前らはどうしたい?」 話を後ろで固まってるメンバーに振る。自分がどうすべきか分かっていない、―――いや、分かりたくないから何もせずそこに佇んでいる。 「おいおい、お前らは自分がしでかしたこと分かってねぇのかぁ?ほんっっと救いようのねぇ奴ばっかだな。俺が解説してやろうか?お前らは謙也に暴力をふるった、罵声を吐いた。謙也を苦しめたのに自分がこれからしなければならない行為が分かんないってか?」 「お、俺らだってそのクソマネに騙された被害者や!」 「あー?一氏、お前は自分の意思に反していやいや謙也を虐めてたのか?違うよな?楽しんでただろうが。謙也をボロボロにして楽しんでただろうがよ!」 叫び、一氏を震わす。 「謙、也…さっきからなんなんばい?自分のこと謙也なんて呼んで、」 「ぁあ?んなもん説明するのがめんどくせぇ、謙也のもう一人の人格だと思っとけばいい。もう一人の僕だ。詳しくは財前に聞け。俺は胸糞悪いお前らなんかと長く話したくないんでね。」 「なんで、財前が知っとるんや?」 「んなん俺の、守本友哉の舎弟だからに決まってんだろ?俺はこいつの行動力が気に入った。それにあんまよろしいとは言えないが謙也を虐めてなかったらしいからな。」 友哉は財前の耳を愛しいものを触るよう触れる。開けたばかりの傷に触れてしまったため財前の顔が苦痛に歪む。 「あ、わり。」 「いえ…。」 「で、俺はどうしても許せないやつが居るんだが…殴ってもいいか?……白石クン?」 友哉は白石の方へゆっくりと歩いて行く。白石はそれに合わせ後ずさっていく。 近づいて避けて近づいて避けて―――トン 白石の背中がフェンスに当たる。 「…っ。」 「おやおや?殴られたくないんだ?それより白石クンには自殺願望があったのかな?そんなフェンスまで寄って…ああ、死んで詫びたいんだな!なら俺が突き飛ばして手伝ってやろう。」 友哉は白石の肩に手を乗せる。 「だ、れ、がお前に何か殺されなあかんちゅーねん!」 白石は友哉の足をすくい友哉の体勢を崩す。その間に屋上の真ん中まで行き安全を確保する。 「さっきから、なんやねん!お前になんか関係あんのか!?謙也の別人格やからってお前には関係ないやろ。謙也を出せ。謙也と話をさせぇ!」 「ハッハハハハッ…ハァ?お前何?謙也にあんなこと言っといて、話をさせろ?無理だっつーの。謙也は俺の話に反応しない。応答しない。――謙也の気配が全くしないのにどうやったらお前らなんかに会すことが出来るんだよ。」 「…あんなこと?」 心当たりが無い。と言った様に首をかしげる。 「……何?お前本当に覚えてねぇの?謙也はお前が何の意識も重みも無かった台詞で傷ついたっていうのか?お前ホント、ダメだわ。何がテニス部部長だ。何がパーフェクトだ。そんなのくそくらえだ!あぁ、お前たしかこの学校を牛耳ってたな。俺は今この学校以外を牛耳れてるわけだが…ついでにこの学校も牛耳ってやろうか?」 「断る。」 「言うと思った。…だったら力ずくでもOKだって言わせてやるぜ?」 「俺かてあいつらをのめしたことがあんねん!誰が簡単にやるかアホ!」 そして始まる、白石と友哉の喧嘩。喧嘩という表現では追いつかない位の激しい争い。 |
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