Kuroko's Basketball | ナノ


03


「お待たせしました。」

彼はすぐに戻ってきました。コーヒーとシュークリームが乗っかったおぼんを持って、

「よく…場所が分りましたね。」

僕は彼からコーヒーとシュークリームを受けとりました。彼もコーヒーを口にしながら僕の目の前に座りました。

「勝手知ったる自分の家ってところかもしれませんね。」

「茶化さないで下さい。僕は今貴方に恐れを抱いています。」

僕は恐れを抱いています。これは本心。本来ならその恐怖に対してこう言った心の内を出すことは駄目なことなんでしょうが、僕は回りくどい事は嫌いです。
ですので、直球で言わせていただきました。

「でしょうね。
では僕がここに来た本題に入りましょうか。」

「本題ですか…。」

彼は手に持っていたコーヒーカップを置いて僕と向き合いました。
真面目な話なのでしょうか。僕の背筋が自然と伸びました。

「はい。僕がここに来た理由は簡単です。僕は君に警告をしにやってきました。」

「警告?」

「はい。警告です。
黒子テツヤ。今すぐバスケ部を退部して下さい。さもなければ君は狂うことになります。」

「意味が分からないのですが…。」

何を言うのかと思えばバスケ部を退部しなさいと…意味が分かりません。何故他人である彼にそんなことを言われなければならないのでしょうか。
確かに今のバスケ部は辛いです。けどこれから全中が始まります。もしかしたら青峰君達と戦いを拮抗することのできる選手が居て彼らの目も覚めるかもしれません。それを期待している僕に対して彼は狂うと言いました。狂うとはいったい何のでしょう。彼は簡潔にものを述べすぎです。

「君は今、必要とされていない空間に居ることがとても辛い。けれど光達と再び楽しくバスケがしたいと言う一心で在籍している。そして全中で強い学校が存在していることを期待している。でしょう?」

「はい。確かに思っています。パスしか能の無い僕が彼らから必要とされなかったら存在する意味がありませんから。
けれど貴方の言う通り全中で強い学校が存在していることを期待しています。そして彼らよりも強い学校があれば目を覚ましてくれるはずです。また楽しくバスケが出来るはずです。」

「でしょうね。希望は捨てられませんよね。可能性が限りなく0に近くとも0.1%でもあるのならばそれに縋りたいですよね。分かりますよ。その思い。
ですが簡単なことではないことは分かっているでしょう。一度彼らがそう言った思いを抱いてしまえば目を覚ますことも困難です。まぁ、もっとも彼らよりも強い学校なんて存在しませんよ。彼らは順調に勝ち進んで三連覇と言う偉業を成し遂げます。」

「な…。」

彼は三連覇を成し遂げると言いました。予測ではなく、確信付いた言い方で。確かに彼らよりチームはあるかわかりません。
しかし未来のことなど誰にも分かるはずがないと言うのに彼は…彼は僕が望まない未来を言って何がしたいのでしょう。

「貴方は何がしたいのですか。僕を、二軍の彼らの様に虐げに来たのですか?責めに来たのですか?迷惑です。帰ってください。」

「落ち着いて下さい。僕は君に危害を加えに来たのではありません。むしろ助けに来たのですから。心が壊れてしまう前に。
少しの間僕の話を黙って聞いて下さいませんか?そろそろ話を展開させたいんですよ。君が反論するからなかなか進まない。」

「…では早く話してください。そしてさっさと帰ってください。貴方はとても不愉快です。」

「その言葉最後まで覚えておいてくださいね?
君は最後まで選手として全中に出場することになります。コートにも立ちます。ですがやはり必要とされません。そして青峰君は君と拳を合わせる事を放棄します。君の存在をコートで否定することになります。君は影であることを否定されます。
それから君は退部します。しかし何もかも手遅れです。必要とされなくなった影は既に心が壊れています。バスケが大嫌いになってしまいました。バスケをする人を見る事に抵抗感を抱くようになります。体育館に訪れることに対して拒否感を抱きます。講演にあるバスケットゴールを見かけると嫌悪感を抱くようになってしまいます。
そんな中です。公園のバスケットゴールを無意識に睨みつけていた時です。花宮真さんに話しかけられます。『親でも殺されたのかよ』と笑いながら貶されます。しかし彼は僕の思いを全て見抜いていました。僕はただただ黙ってその言葉を聞いていました。花宮さんから発せられる言葉一つ一つに聞き入ってしまいます。ですがそれが自然と言うものです。必然と言うものです。君は花宮さんに心酔します。」

「花宮…さん?」

「はい。花宮さんです。花宮さんこそ君の救世主になるのです!彼の言葉に従っていれば全て上手くいきます。君を苦しめていたキセキ達に復讐できます。キセキ達は抗いますがそんなの無意味です。彼らは君によって壊されます。君が狂ってしまったばっかりに。でもそれはそれでざまぁみろと言う感じなのですが。」

「青峰君達に…僕が、復讐…?」

信じられない単語が彼の口から飛び出てくる。
花宮さんとはきっと無冠の5将の一人の事でしょう。確か彼は霧埼第一に行ってラフプレーを行っているはずです。そんな彼の言葉に僕が耳を傾けると言うのですか?あんなバスケを冒涜していると言っても過言ではない彼の言葉に?

「はい。復讐します。君の大嫌いなバスケで。彼らが見下した君の力で。
とても爽快ですよ?彼らが僕達のバスケで沈んでいく様。見ていてまさに絶頂と言う感じです。
君は霧埼第一に進学することになります。その頃にはバスケなんて復讐の道具でしかなくなります。滑稽ですよね。君が彼らから離れてしまい抱いた一番初めの感情はまた楽しくバスケがしたい。しかし君は最終的に彼らに復讐します。ラフプレーで残酷なまでに。」

最後は感情が高ぶったのでしょうか。
口元はにやけており歪んでします。笑っています、何がおかしいのでしょうか。
僕は全く面白くありません。楽しくもありません。僕だって感情が高まっています。ありもしない未来予想図を彼に決めつけられ、僕は腹立たしい気持ちでいっぱいです。

「勝手なことを言わないで下さい!!僕はそんなことしませ――「ちょっと話を変えましょうか。君はこの話に飽きてしまった様なので。」

彼は僕の発言を妨げました。
先ほどまで笑っていた口元はそこにはありませんでした。僕は恐怖を感じて黙ってしまいました。その間に彼は再び言葉を紡ぎます。

「パラレルワールド。君は知っていますか?並列世界。君が別の世界にも居ると言う面白い話しです。そこでの君は女の子かもしれません。バスケをしていないかもしれません。バスケで才能を開花させているかもしれません。はたまたその世界に存在しないかもしれません。
そしてその世界はこの世界での選択肢を違えただけで君もそう言った道を歩む可能性があったかもしれないと言う話になります。
僕の言ったように君が今すぐバスケを止めれば先ほど語ったような未来は来ません。ホラ、ここで既に選択肢が存在し、未来の違うパラレルワールドが存在します。つまり君は今僕の話した未来を回避する方法はあるのです。逆に全中を経験してしまえば僕の言ったように彼らを壊すことになります。これは存在する未来です。
さて、そろそろ君は感づき始めていると思います。僕が警告と言って君にこのような未来を回避させようとしている理由。それは僕の話した未来と違う未来を見て見たいからですよ。僕は経験していますから。僕は僕しか幸せにならない世界を見ていますから。別の誰が見ても誰が知っても誰が関わっても全員が幸せな世界を見て見たいのです。
と言うのは建前で、僕の世界では僕は悪者扱い。あたる風はとても冷たい。僕は一つも悪くないと言うのに。彼らが僕を捨てた方こそ非難されるべきなのに。そこまで言われてしまうのなら僕の悪くない世界。見て見たいじゃないですか。それを見て感じてみたいじゃないですか。まぁ、見て見ても生ぬるくて反吐が出てしまうかもしれませんけど。」

彼の言葉が右から左へと抜けていって何を話しているのか疎かにしか聞けません。
非現実的すぎる話のはずなのになんだか彼の言葉に納得しかけている自分がいます。僕は疑問に思っていることを全て吐いてすっきりしたいと言うのに、思う様に言葉が出てきません。

「あ、放心状態になってしまいましたね?覚えがありますよ。客観的に見たら滑稽なんですね。この状態。実際放心なんてしていたら頭の中がぐちゃぐちゃで思考がまとまらなくて気持ち悪いのに。
では種明かしです。」

彼は顔を覆っていたフードを自らの手をかけ、ずらし、顔を僕に見せました。
フードによって隠されていたものは色素が薄く水色がかった髪。何を考えているのか分からない目、表情が乏しい顔。
彼は、

「黒子は僕です。
初めまして帝中三年黒子テツヤ君。君の未来の一部である霧埼第一に進学し、世間では悪者扱いされている黒子テツヤです。君が不愉快に思ってしまったのは、君自身です。」




未来の僕。












―――――――――――――
あとがき


駄作すみません。
何を書いているのか分からなくなりました。すみません。

簡単に言いますと未来の黒子(黒子in霧埼第一)とまだ帝光中3年全中前の黒子君がグダグダ話をしていただけの話です。

真っ黒子様を書きたかったんです。他の素敵な方々の書くin霧埼第一の黒子君が素敵で書いてみたかったのですが、不完全燃焼です。
あと「僕は闇です。」と言わせたかったのですが言わすことが出来なかったので無理やりタイトルにしてしましました。

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