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卒業式の後で 上


来神学園卒業生 K氏の証言

毎日毎日、静雄と臨也の差し向けた不良達の喧嘩から1日が始まっていたといっても過言ではなかったよ。毎日毎日飽きないなぁって僕は呆れたように毎日その光景を見ていた。傍から見たら僕のこの行為も飽きないのかなって思われていたかもしれないね。正直飽きていたよ。飽き飽きしていた。けれど、そうやって彼らの闘争はこれから先一生毎日見ることはないと思って記念に見ていたよ。事実卒業したら縁も薄くなる。そう、卒業。これから語るのは卒業式の日の事だ。毎日あった闘争が無かった。臨也も来てなかったんですよ。静雄は何もなかったので平和な1日が送れる、しかも卒業式の日に、と喜んでたよ。でも僕は悪い予感しなかった。悪い予感ほどよく当たる。僕は改めて思い知らされたよ。とても怖い光景を目の当たりにしたんだからね。





卒業式が終わり体育館から教室へと戻ってる最中、静雄の頭に石のようなものが当たった。飛んできた方には片手で石を弄りながら静雄の方をニヤニヤとした顔で向いている臨也がいた。静雄に石を当てた犯人は臨也だった。

「いぃざぁやぁぁあっ!!テメェはよぉ!」

静雄は平和に終わるはずだった一日が壊されたことでいつもより怒っていた。

「シズちゃん、こっわーい!そんなんだから平和になんて終われないんだ。平和島なんて名前、改名したら?戦場ヶ原とかそんなのに!」

火に油をそそぎ込むような台詞を吐き臨也は校庭の方へ走っていった。

「手前っ!待ちやがれ!」

静雄は臨也の後を追っていった。臨也はそれに対し逃げるように校庭を駆け出した。だから静雄もそれを追い、校庭へと走っていった。しかしそこには平和なんて言葉が通用しないような光景が広がっていた。

「……テメェっ…。」

校庭には約100人の不良達がいた。静雄は臨也を追いかけていた足を止め、その場で奥歯を噛み締めた。

「やだなぁシズちゃん。俺が無計画に挑発すると思ったの?学習能力のない幸せな頭だねぇ。そんな幸せなシズちゃんにプレゼント♪不良100人によるフルボッコをプレゼント!いやぁ、大変だったんだよ?100人も集めるの。何時もより倍の数だしさぁ。シズちゃん、気に入ってくれたかなー?」

「うぜぇ、うぜぇ、うぜぇ、うぜぇ、うぜぇ、うぜぇ、うざってぇんだよ!!殺す!!」

静雄が一歩、また一歩と臨也に近づいていく。

「きゃぁんっこっわぁい!じゃみんな殺っちゃって♪」

臨也の命令によって不良たちが静雄に向かって襲いかかる。右から左から上から下から斜めから。幾人は素手で挑み。大部分の人は木材を、鉄パイプ、鉄バット、ナイフを使い、静雄を追いつめようとしている。でもそんなもの静雄にとってはおもちゃ以下、直撃してもほぼ無傷。静雄はろくな防御もせず。攻撃に徹していた。校庭だったためろくな武器は無かったが、特攻してきた不良をつかみ、盾にし投げ飛ばして攻撃をした。
数十分が経ち、校庭立っているのは攻撃の核だった静雄と首謀者であり傍観者であった臨也だけであった。100人を超える不良は地に伏している。呻き声が所々聞こえてくるだけで動きはない。

パチパチパチパチパチパチ――。
乾いた拍手の音が聞こえる。この場で拍手出来る人物は一人しかいない。

「アハハハハ、さっすがシズちゃん。あんなに居た不良を全員倒しちゃうんだもん。流石…化け物。」

静雄にとっての禁句を軽々しく口にする臨也。

「手前、殺す!」

静雄は臨也に向かって駆け出した。

「シズちゃんの単細胞ぉ!俺を殺すって?捕まえるって?無理無理ぃ!」

臨也は静雄を誘導するかのように人気のない所に逃げ込む。臨也を追う静雄。静雄は臨也を逃げ場のない場所に追い込むことができたと思い得意げな顔をする。

「いぃざぁやぁぁ…バカはどっちだぁ?人気の無い場所で助けは呼べねぇぞ?」

「あっはー!やっぱり君はバカだ。それはシズちゃんにも言えることだし。それになんでも暴力で片付けようとしているなんて愚の骨頂。ねぇ、話し合いしてみない?もしかしたら話し合いで解決することかもしれないよ。」

臨也はそういいながらもナイフを構える。

「言ってることとやってることが違ってるじゃねぇかよぉっ!」

静雄は臨也に向かって力をふるう。

「シズちゃんの攻撃って直線的だよねぇ。避けやすい。」

「うぜぇ、手前は何がしてぇんだ、よ!」

攻撃は滞ら無い。その中でも会話を続ける。

「えー?シズちゃんを弄りたい虐めたい。それだけだよ。」

「あぁ!?っざけんな!迷惑なんだよ!」

「迷惑?そりゃそうでしょ迷惑かけてんだから。」

「なんでだよ!なんでこんなことするんだよ!」

静雄と臨也は初めてここまで会話をしたのではないか?と思えるほど話していた。出逢えば喧嘩して、罵り合って。思い返せば静雄は臨也に対して殺す、だとかそう言った言葉しか履いてこなかったように思えた。

「んー?シズちゃんが好きだからぁ?ほら、小学生の男子が好きな女の子に意地悪をしちゃうっていう事を俺もやってみようかと。あ、勘違いしないでね。思考が小学生な訳じゃないよ。意地悪をしてる男子の気持ちを知ってみようと思ってさ。」

「手前、何言って…。」

静雄は臨也の突然の告白に動きが固まった。

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