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ドイツはフランスの動きに合わせるように完璧に動いていた。初めて舞ったというのにまるで打ち合わせをしたかのように、自然に身体が動いていた。 双方に剣を押し出して、互いに互いを避けようと体を翻し、斬り合う二人は動くことを止めず、斬り合う二人は美しい剣舞を披露していた。 「つッ!?」 「おいおい、いきなり止まったら危いよ?」 ドイツの動きが不意に止まる。頭に痛みが走ったのだ。 しかし、ドイツは止まるべきではなかった。フランスがこれを機にドイツを弾き飛ばす。ドイツは倒れ、体勢を直そうとするがフランスに剣を向けられ動けなくなった。 「ッふ、手こずらせやがって黙ってすんなり死んどけってのAu revoir Un jeune chevalier。」 フランスが一言言った。それが引き金になったようにドイツはさらに頭が痛くなるのを感じ、頭を抱えて倒れ込んだ。 「グッ…ガ、ハッ…つッ!」 ドイツは意識を飛ばすまいと庭の芝生を掴んでいたが、効果はなく意識を飛ばしてしまった。その様子を見たイタリアが部屋から飛び出してきた。 「ドイツっドイツ!うわぁ、兄ちゃんドイツがぁ。」 「心配するなって、ただ気を失ってるだぁけ。ドイツの事だすぐ目を覚ますだろう。さて、こいつを家の中まで運ぶぞ。イタリアはこいつが目を覚ますまでついていてやれ。」 「うん…。」 ――――――――――『俺はお前を倒して、ローマ帝国になるんだっ!』『倒せるとでも』『お前を倒して俺が勝つ!』『痛い、痛い痛い痛い痛い痛い!』『俺は…もうイタリアには会えないのか?』『Au revoir Un jeune chevalier』 「ハ!?…っハァ、ハァハァ、重っ。」 ドイツは意識を取り戻した。回りを見ると、疲れたのかイタリアが自分に被さるように寝ていた。重いと思った原因はこれだった。そしてドイツは寝ているイタリアに語りかけた。 「イタリア…俺は、神聖ローマだった。約束、遅くなりすぎたが、やっと、やっと果たすことができた。迎えに来たぞ、イタリア……。」 そう語りかけると寝ているはずのイタリアは一筋の涙を流した。 「なっイタリア、何時から起きてたんだ!?」 「ドイツがっ重って言うところ、からでありま、すっ!」 「始めからじゃないか!」 「うぇっう、ぁー、やっぱりドイツは神聖ローマだったんだねっ。やっと、やっと会えた…待ってた、待ってたんだ。」 「すまなかった。」 「俺も記憶を無くしてたけど、ドイツよりも先に思い出しちゃってさ。ドイツが覚えてないって…とっても辛かった。けど、うっヴェーっ!!」 イタリアはぼろぼろと大粒の涙を流しながらドイツに泣きついた。 「泣くな、まったく、昔も今も泣き虫なのは変わってないな。」 「っうぇっ神聖ローマァ!そうだ、神聖ローマは俺の何になりたかったの?それが気がかりだったんだ。ずっと、ずっと…。」 イタリアが聞くと照れくさそうにドイツは頬をかいた。少し照れながら、イタリアに答えを伝える。 「あー…、お前の一番になりたかったんだ。仲良しでも、悲しむ者でも、苛める者でも 、上に立つものでも、何でもいい。お前の一番になりたかったんだ。イタリア、俺はお前の一番になれたか?」 「ッうん!神聖ローマもドイツも俺の大切な、大好きなっ…一番、一番っだよっ!」 |
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