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「ヤッホー菊。」 「すまない、少し迷ってしまって遅くなった。」 「俺のせいじゃないんだぞコノヤロー、トーニョがシエスタしててよぉ。」 「ヴェストが迷ったら俺様も迷うんだからな。」 「なんや、シエスタしとったらひこずられて来てもーたみたいやなぁ。」 「ハンバーガーどっかに落としたみたいだぞ。」 「あっそれなら僕が拾って来たよ(誰?)マシューだよ!」 菊の言ったように少し遅れてアルフレッド達が来た。皆揃って目元が包帯でぐるぐると巻かれており異様な光景だった。誰がどう見ても異様でしかない異常な光景だった。そんな光景も菊にとっては日常的なもので気にすることもなく話始める。 「あぁ、皆さんお待ちしていましたよ。」 「ったく、お前等遅ぇぞ。アントーニョも何時までも転がってんじゃねぇよ。」 「すみません、アーサーさん。さっき殴ったので大丈夫です。」 「親分殴られてもーた。でも全然痛くなかったわ、ロヴィに殴られて逆に気持ち良かったん。」 「この変態がぁチギーッ!」 「親分は変態なんかじゃないで、変態はアーサーや。」 「おいおい、俺は変態じゃないぞ。英国紳士だ、変態はフランシスだろう。」 「そやったわぁ、ごめんなぁアーサー。」 「…………。」 おかしい、おかしすぎる。アーサーとアントーニョ、ロヴィーノは仲が良くなかったはず。なのに何故、仲が良くなっているのだろう。 「お前等ってそんなになか良かったっけ?」 フランシスが聞いた。 「あぁ、此処に来てから仲良くなったかな。」 「そやなぁ、菊がアーサーの良いところとか教えてくれたからやんなぁ。」 「俺はアントーニョの事を教えてもらったしな。」 「菊のおかげやん。」 「それに俺らが喧嘩をして菊の悲しむ顔なんて見たくねぇしな。」 「せやなぁ。」 「菊が居なかったら俺等はきっとまだ喧嘩してたなぁ。」 「仲良くなれて良かったですね。」 「ほんま、俺等菊が居らんともう生きていけれへんで。」 「ホントだな。」 和気藹々とした空気が流れた。そこに菊が一声かけるすると、さっきまで話をしていたがピタッと止まり静かになる。 「すみません、少し手伝ってもらえませんか?フランスさんを押さえ込んでほしいのですが…。」 「!?」 「HAHAHAHA!!ヒーロの俺に任せるんだぞっ☆じゃぁ、俺が指示を出すんだぞ!アーサーが右手、マシューが左手、ルートが上半身、フェリシアーノとがロヴィーノは足、アントーニョが顔を押さえてくれ、他は見学なんだぞ!」 各々が行動に移り、フランシスを押さえ込む。フランシスは逃げようとしたが無理だった。両足を抑えられ、上半身は上がったまま、足を伸ばして座っているような形になった。 「っ菊ちゃん、…どういうつもりだよ。」 菊を睨む。 「そんなに怒らないでくださいよ。どうもこうもただ、貴方の目を頂くだけですから。」 当たり前じゃないですか。と言いたげに菊は笑みを作った。 「っ!?嫌だ!」 「大丈夫です。痛くしませんから。大丈夫です。怖くありません。」 菊は懐から小刀を取り出し鞘をとり、ちらつかせる。こんな行動フランシスにとっては恐怖の対象でしかない。 「ふっざけんな、そういう問題じゃないだろ!放せっ放せよ!」 フランシスは力の限り暴れてみるが、ルートヴィヒを筆頭に6人に押さえ込まれているためびくともしない。 「みなさんしっかり押さえてくださいね。フランシスさんは抵抗しないでください。その美しい瞳に傷なんてつけたくありませんので。」 菊はそう言いながらフランシスの上に馬乗りになる。そしてフランシスの目を覗き込むように見ていく。そこには美しい瞳があった。 「あぁ、やはり美しい流石美国。私の物にしたいですね。」 フランシスは何も言わない。その時フランシスは放心状態にあった。菊にまじまじと瞳を見られ、フランシスも初めて菊の瞳をしっかりと見た。ヨーロッパでは絶対に拝むことの出来ない漆黒の瞳。日本の瞳もこちらから見れば十分に美しい。 漆黒の瞳。映したものをそのまま映し返す。黒以外には出来ないことだ。フランシスは菊の瞳に写った自分を見る。そしてフランシスは理解した。 「まぁ、良いんじゃない?俺の瞳…菊ちゃんにあげるよ。その代わり俺のことだけを見てよ…。」 その言葉を聞いた日本は微笑んだ。 「善処します。恐れ入ります、すみません。クスクスクスクスクスクスクスクスクスクスッ!」 |
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