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数ヵ月が経ち、またオーストリア主催のパーティーが開かれた。 場所も時間も招待客もあの時と同じ。唯一違うことはプロイセンという国が来ていないということだけだった。 「ハァ…。」 ハンガリーは壁に寄りかかり深いため息をついた。ハンガリーにとってこのパーティーはあの時を思い出してしまうものだった。あの時、ちゃんと彼の願いを聞いていたら、と自己嫌悪に陥っていた。 ハンガリーは何気なく周囲を見渡すと、銀髪の人がいた。ハンガリーは自分が可笑しくなった。彼は居なくなってしまったのに、銀髪ってだけで人に彼を投影させてしまうなんて 。 「ハンガリー、ちょっと話があるんだが…。」 ドイツがハンガリーを呼んだ。 「ハンガリー、紹介したい人がいるんだ。」 「誰かしら?」 ドイツは呼んだ。先ほどの銀髪の人を、 銀髪の人は目元が隠れる仮面を着けており、彼特有の緋色の瞳は確認できなかった。 「俺の、ドイツ国の補佐になった。ギルベルト・バイルシュミットだ。」 銀髪の彼はドイツの横に立ち、着けていた仮面を外した。そこには緋色の瞳があった。 「初めまして、ドイツの補佐のギルベルトです。以後お見知りおきを…ケセセッ!」 「なっな、プロイセン!?なんであんたがいるの!?だって存在しなくなるって、」 「プロイセンじゃないぜ。ギルベルト・バイルシュミット 、人になったんだよ。国という存在じゃなくなったけど、人として存在出来てんだよ。」 「……………っもう、会えないかと、っ思ってた、の、にっ。」 「ハンガリーが泣いてるぜ!!めっずらしぃ!」 「っ礼儀を持ちな、さいよぉっ…。私は国で……ギ、ギルベルトは人でっ!」 ギルベルトはハンガリーの言葉を聞き、ハンガリーの手をとって手の甲にキスをした。 「Werden Sie zusammen tanzen?」 (ダンスの、お相手御願いできますか?) |
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