Prince of tennis | ナノ


雑軍へのカノン 01


「っぃぃぃいいやっほぉぉぉおおおおおおおい!!」

切原赤也初めての前線に参加。初めての前線にテンョンが振り切れている。しかし緊張感もなくTシャツにハーフパンツといういつもの格好だ。その格好以外はしたくないという赤也の願いでもあった。立海軍で規定されている軍服は赤也にとってはとても動きづらいものらしい。基本貫禄を出すために、高級な素材と格式の高いデザインを用いているから仕方のないことではあった。その中でも真田のものは比較的動きやすく改良されているからそれはどうだ?と提案はしてみたが、真田とお揃いは嫌だったらしい。だったらしかたがない。それにそれ以上に、そんなラフな格好をすることは後々効率がいいのだ。

「柳さん柳さん!あいつらッスよね!今回あいつらを殺ッちゃえばいいんすよね!」

「あぁ、確かにあの軍だ。兵士全42人といったところだな。今回の軍は規模の小さいから俺とお前しかしない。いいか、前線向きではない俺と不安要素の塊のお前しかいない。どういうことか分かるな?」

「はい!全然わかんないっす!」

元気だけは大変よろしい。しかしお頭が全然足りていない。柳は一抹の不安抱いた。

「…………作戦がものをいうんだ。」

「えぇぇ、作戦って俺無理っすよ。作戦思い出す前に手が出ちゃいますって!いーから見ててくださいっす!一瞬で終わらして戻って来ますよ。」

赤也は単騎で相手に乗り込んでいった。柳も赤也より遅れたが相手に死を与えに行こうと足を進めた。赤也の戦闘能力の観察も兼ねて。

赤也は兵士を倒すたびに強くなっていっている。倒す度にどこが人間の急所かを理解し、倒す度に急所を的確に攻撃するようになり、倒す度に無駄な動きがなくなっている。

大地の戦闘空間を支配し、空中の戦闘空間でさえも支配するようになっていた。

赤也は日々進化している。柳はそんな赤也を観察することが楽しくなっている。戦場の状況なんて観察することを忘れ、赤也が兵をなぎ倒している姿を柳はじっと見つめる。

そもそも何故柳は物理専門なのか。答えは簡単、経過がはっきり見えるからだ、結果がはっきりしているからだ。逆に化学は経過が曖昧で、結果すらも出てこないこともある。
柳はそれが嫌いだった。実験を続けるならはっきりした答えが欲しい。それが柳の考えだ。だから物理を専門とし武器の改造を続けているのだ。そして赤也の観察はどちらかと言えば化学寄りだ。決して物理ではない。
柳が嫌う分野の、結果がはっきりとしないもののはずだった。勿論始め柳はどうでもいいとさえ考えていた。ただのモルモットだと考えていた。しかし柳が赤也に惹かれ始めるのも時間の問題だった。
まず、赤也の純粋さに惹かれた。どんなに冷たくあしらっても「柳さん柳さん」と後ろをついてきた。
そして、赤也の成長、進化は目覚ましいものがあった。進化の過程がはっきりとわかる。柳ににとっての最大の魅力を赤也は具現化していた。


実に面白い。


そう思った日から柳は赤也と行動を共にしてきた。
と、柳は油断していた。過去を懐かしんでいたら敵兵からの銃弾で肩を負傷してしまった。物思いにふけるという慢心した行為が祟ったのだ。ここは戦場で決して安全というわけではないのに。

「っ柳さん!?」

「平気だ。目の前の敵を確実に倒していけ。」

ただ掠っただけだ。問題視するほどではない。柳は冷静に傷の大きさを見て応急処置へとかかる。しかし異変が起きてしまった。撃たれてしまった柳ではなく、赤也の方が大きく変化が起きてしまっていた。

「……ヒャハっ!」

聞いたことのない笑い声が赤也から聞こえてきた。皮膚は赤くなり髪の毛は瞬く間に白くなっていっている。人が人の形を捨て、力のみを求めた結果のような禍々しい色彩をしていた。

「ヒャーッハッッハッハッハッハ!!俺の目の前で柳さんに攻撃するって、やってくれるじゃん!アンタら…潰すよ。」

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