成り代わりroom | ナノ


なんて馬鹿馬鹿しい。


王者立海大のテニス部に入学して数年、
ジャッカルと出会って数年、
テニスを始めて数年、
この世界に生まれて十数年、

自分は丸井香織だ。

「ジャッカルー!頼んだ!」

「ああ!任せろ!」

ジャッカルの打ったボールで相手のペースが乱れた。その隙を狙って、香織が決める。

「妙技、鉄柱当て。ふーぃ天才的☆」

試合にも勝って、香織の生活は順当だ。

「香織やったなぁ!」

ジャッカルが肩を組んできた。香織はそれを組み返す。

「当ったり前だろぃ!だって丸井香織様だぜ!」

「丸井!一勝しただけで浮かれるとは、足るんどる!」

「うわ、真田…いいじゃんか、一勝は常勝に繋げるために重要だろ?」

「む、そうだが……。」

「おお!香織が真田を言いくるめよった。明日は雨かもしれんのぉ…。」

「なんだよ仁王!失礼にもほどがあるだろぃ!」

「プリ。」

「仁王君、次は私たちの出番ですよ。」

柳生が仁王を呼ぶ。

「ほら、呼び出しだぜ?さっさと勝って来いよ。さっさと勝ってさっさと帰って、さっさとケーキを食べたいぜぃ!」

「アハハハ!丸井先輩ケーキばっか!」

「いいじゃねーか、ケーキをバカにしたら俺怒るぜ?」

「はいはーい。」


優勝校、立海大付属中学。

「みんな、お疲れ。明日の朝練は無いからゆっくりすればいいよ。午後はあるけどね。」

「「「イエッサー!」」」


試合が早々に終わって只今4時。
皆それぞれ家路につく。途中までみんなと同じ帰路。そして香織は少々小腹も空いているもよう。

「よっしゃ!ケーキバイキング行こ!誰か一緒に行くか?」

誘ってみるが誰も首を縦に振らない。金欠だとか、甘いものは苦手だとか、夕食が近いからとか、そんな理由でみんなが断った。

「チェー、みんな付き合い悪ぃなー。次、誘ったら一緒に行ってもらうぜ!」

はいはい、
みんな適当に頷いた。そして香織が右に他の人がまっすぐに進む分かれ道が来た。ここで暫しの別れである。

「じゃーな!お前ら朝練ないからって寝坊して学校まで遅刻するんじゃねーぞ!」

「香織にも同じこと言えるぜよ。」

「俺が寝坊なんてナンセンスなことするわけねぇだろぃ!」

アハハハと笑い合って、笑顔でみんなの背中を見送る香織。

笑顔、

笑顔、




―――――無表情。


「なーんて…バカらしい。」



部活、部活の青春ごっこですか?
お疲れ様です。自分は疲れましたし、この人懐っこい演技も少々辛さがある。いつまでこの演技を続けていけばいいですか?そうですか関わらなくなるまでですか。やっぱ一番楽な無関心でいればよかった。
自分は平穏に過ごせればいい、荒波を立てずに、ただ勝ち続ければ良かったのに…失敗したかなぁ?
声を掛け合って、心を通じ合わせて、必死で一勝をもぎ取って?
そんなの性に合わない。
独断で、無視して、楽々と一勝をとっても、いいですか?
こちらの方が性に合ってる。

何時まで皆は、
何時までお前らは、
何時までその他諸々は、

騙されているんだろう?



嗚呼、なんて馬鹿馬鹿しい。





――――――――――――――
200000hit企画第9弾
涼様リクエスト「丸井成り代わり。演技をしていて実はレギュラー陣を全く信じていない」でした。

信じてない…?ではなくなってしまったかもしれません。すみません、管理人の妄想力の限界が垣間見えてしまいました。

<< TOP >> 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -