汝は悪女の深情けなりや? | ナノ


005


「お萩ー、一人目のトリップ娘のプロフィールが送られてきたよー。」

朝、車で学校に移動中。
成実のケータイにメールが来たようだ。

「どんなの?」

「えっとー、名前は富布里梨子でこっちに来る特典として『可愛く』『逆ハー補正』『頭よく』ってさ、まー…典型的なのが一人目って感じ。」

「へー、………ん?ゴメン、それ誰のクラスに行くの?僕たちのクラスに来たら僕、成実が気分を害したって理由でパァンしちゃうかも。」

「おいおい、俺を理由に出してんじゃねーよ。それに富布里が行くのは、3−Aご子息のクラスだ。」

「あ、だったらいいや。僕には被害無い。」

「さぁ?どうだろうねぇ。」

「…どういう事?」

「察しのいいお萩なら予想ついてると思うけど…富布里、テニス部のマネージャーになると思うぜ。」

「えー?マネはもう成実が居るのに?」

「バーカ。俺がその娘を入部させてやんだよ。俺ってばやっさしー。」

「…僕の仕事増やさないでよ?」

「増やしてたまるか。俺だってお前の世話になることは不本意なんだからな。」

「それならいいよ。成実のお好きなように。」

「流石お萩、話の分かる男はモテるぜ。」

成実の言う通り、富布里は跡部のクラスにきた。きたっぽいと言うのは成実自身が確認していないからだ。クラスメイトの噂で成実の耳にまで届いているのだ。まぁ隣のクラスに入ってきたのだからB組でも話題は持ちきりになる。

「ねー、藤ケ院さん。A組に転校生が来たらしいよ。」

「そうなんですか?どういった方ですか?」

「えっとね、富布里梨子って言う子で、凄いんだよ!入試試験も満点で通ったらしくって、この学校の入試試験難しいって聞くからホント頭いいんだろうなー。。」

「それは凄いですね。お恥ずかしながら、私はそんな点を取ることが出来なかったです。」

「しかも可愛いってもっぱらの噂だよ!可愛くて頭がいいって羨ましいなー。」

「そうですね。富布里さん、でしたっけ?仲良くできたらいいですね。」

「そうだねー。でさ!話は変わるんだけどさ、藤ケ院さん次はいつ舞台に上るの?藤ケ院さんの演技見たいなぁ。」

「えぇ、次回は――か月後の――――――――。」

そんな感じで転校生…否、一人目のトリップ娘の噂は頭がいい、サーモンピンクの髪色で可愛いと言うもので広がって行った。

「成実、部活行くよ。早く準備して。」

「はい、ただいま。」

放課後、つまりは部活が始まる時間である。滝が既に部活に行く準備を終え、成実の準備を待っている状態。そしてすぐ成実も準備を終えて二人で部活へと向かう。
部室に行ってみると既に皆がそろっていた。揃っていたうえにさらに一人多かった。多い一人と言うのは今日A組に転校してきた富布里梨子が跡部の隣に居たのだ。跡部の腕に絡みついている。
初めて富布里の外見を見たのだが、これはこれは、トリップ特典で『可愛く』と付けたからだろうか。その辺の女子よりも可愛くなっている。が、しかし作り物の可愛さ、と言ったら正しいだろう。まるで人形の様な表情で生気を感じない。捉えようによっては不気味、ととれる。そして髪の色がとっても女の子している。何故かと言うとサーモンピンクであり、髪形はゆるっとふわっとした感じでツインテールになっている。

「あら…遅れてしまったようですみません。」

「成実…。」

「景吾ぉ、あの子が景吾の言ってた成実ちゃん?」

「あ…あぁ……。」

「ぁたしね!今日転校してきた富布里梨子って言ぅの!ょろしくねぇ!」

「はい、私は藤ケ院成実と申します。以後よしなに…。」

「でねー?ぁたし、テニス部のマネになりたぃのぉ。でね?昨日成実ちゃんがマネになったって聞いてぇ、…梨子もマネになっちゃダメかなぁ?」

「いえ、私は構いませんが…マネに人数制限なんてあるのでしょうか?跡部のご子息?」

「いや…ねぇが、そいつの入部の判断は成実に任せる。」

「私に委ねられるのですか。…勿論、富布里さん。一緒にがんばりましょう。お仲間が増えて私は嬉しいです。」

「ゃったぁ!ぁりがとぅ、成実ちゃん!」

「いえ、こちらこそ私一人で200人のサポートは無理だと思っていたところなので…。明日からでもよろしいでしょうか?」

「ぅん!分かった!明日からょろしくぉ願ぃしまぁす!」

富布里はテンション高く部室から出て行った。話して分かった事。一動作一動作がきゃぴきゃぴとしており大抵の男子受けはいいような感じではある。

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