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「まー…こうなることが予想してたから僕の親友が成実ってことを黙ってたんだけど…やっぱこうなるか。」 「アーン?滝、俺様が成実と対峙して平常心保っていられると思うなよ。物理的に氷の世界なんてやってられるか!滝の馴染みが成実だって知らされてたらもっと部室内を煌びやかにしてたんだがな!」 「跡部!これ以上部室を未知の空間にしてんじゃねーよ!あ、藤ケ院成実が居る。」 「跡部さん滝さん藤ケ院さんこんにちはー。」 跡部の最後の言葉と被る様に宍戸と鳳が部室内へ入ってきた。 「チーッス藤ケ院成実でっす。よろしくでっす。」 「あ、俺鳳長太郎って言います。って、え?」 「…俺は宍戸亮だ。それよりもうわさに聞いたみたいなやつじゃねーんだけど。御淑やかな奴だって聞いたんだけど。」 「俺のテリトリー内だと素を出すことを許されるんだ。息が詰まるからな。俺は今回お前らの前はテリトリーってことにしたんだぜ?まぁ、こっちが本当の俺だからそこんとこシクヨロ。あ、でも宍戸君はこちらの私の方がお好みなのかしら?」 目を伏せてそこから流し目で宍戸と鳳を見つめる。それを見た二人は顔を赤くして目を逸らした。 「ケッケッケッケ、若い反応。それ大好き。」 「成実さん、いい加減その趣味止めません?迷惑です。」 ふてぶてしい顔で成実を睨みながら入ってきた日吉。 「おお!ヒヨちゃん!やっぱ居たか!おっひさー。」 「ッここでそう言う呼び方するの止めてくれませんか!?」 「アーン?日吉、成実とはどういう関係なんだ?」 「俺の家の古武術を習いに成実さんが来るだけですよ。もう達人並なんで来る必要性は無いと思うんですけどね。」 「あーら、俺がヒヨちゃんの家に行くのはヒヨちゃんをからかいに行くためだよ。」 「なッ!?だからその呼び名!」 「あ?俺、一回呼んだ名前ってなかなか変更出来ねーんだ。勘弁な。」 「成実、俺様のことは景ちゃんって呼んだっていいんだぜ?」 「ハァ?ご子息はご子息だろ。そんな呼び方お萩にでも呼んでもらえ。」 「え?嫌だよ。景ちゃんとか気持ち悪い。」 成実に、滝にギッタンギッタンに言われたがそれでも跡部は屈しなかった。逆に成実に罵られる度にツヤツヤしてたような気がしたが、気づいたら負けだ。 そんなことをしてる間にも忍足や、岳人、ジローが部室へとやって来て氷帝レギュラーが全員集まった。 「はー…みんなやっぱりイケメンか。俺には及ばねぇが。通りでこの学校をワタリジマに選んだワタリドリ共が多い事。」 「おひぃさん、なんや?そのワタリジマって?」 「…萩之介、気分が悪いので本日は帰らせていただける?」 「んー…僕は別にいいけど、跡部がねぇ。」 「帰るだと?これから部活が始まんだぜ。俺様の美技に酔って行けよ成実、アーン?」 どうやら跡部は自分の活躍を成実に見てもらいたい様である。 「……ご子息様。本日とても気分が優れていないのです。この状態でご子息様の美しい技を直視してしまったら、卒倒してしまうかもしれません。また明日、気分が優れた時に拝見させていただきたいのですが…。」 成実は大げさによろめき、少し涙目になりながら跡部に訴える。 「それは大変だ!早く医者を、樺地!」 「それほどには及びません。家に帰って休めば大丈夫です。ですので許可を頂ければ、と思います。」 「ああ!だったら…今日は、帰っていい。明日はちゃんとマネの仕事していけよ。」 「はい、ありがとうございます。萩之介、行きますよ。」 「うん、行こうか。じゃ皆明日ね。」 成実と滝は静かに部室から出て行った。 「ワタリジマって何やねん…あからさまに話反らされた…。」 「あれじゃね?藤ケ院家の暗号とか…?」 「俺、そんなことよりも跡部の求愛って言うの?キモイC。」 「アーン?俺様の成実への愛を否定する気か?」 「だって成実、男だよ?どんなに綺麗で可愛くてもさ。」 「んなこと知ってる。俺様の愛はファンとして成実を愛してるってことだ。恋愛感情なんかじゃねー。」 「…ちょっと向日さん聞きました?跡部様、ファンとしてとか言ってたけど絶対恋愛感情に変わりますわよ?」 「ホントですわね芥川さん、こういう人こそ道を踏み外してしまうのですわ。」 「お前ら外周100周程度してくるか?」 「やだCー!行きましょ向日さん!」 「ですわですわ!芥川さん!」 一応部室の中も落ち着いてやっと部活の開始である。 一方ミスってワタリジマだとかワタリドリだとかとか言ってしまい早々に退場した成実と滝。 「ね、神様から返信きた?」 「うん来たよ。おk把握だって、流石神様分かってるなぁ。俺が喜ぶこと!」 「そっか、というか…女子が多いってことは、何人この学校にトリップしてくるの?」 「順番に5人来るらしいよ。とりあえず一番目に来る子は…ぶりっ子娘、かな?」 |
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