なきたい。

「どいてくれねーかな、喰鮫どの」

「おや、蝶々。どうしましたか? こんな森深くに」

「其処に転がってる奴が誰か分かって言ってんのか」

「ああ……。そういえば、この子は貴方の部下でしたっけ。幸せな子ですねえ、頭領直々に迎えに来て頂けるとは」

「おれもあんたがそんなことをしなけりゃこんな面倒臭い真似しなくていいんだけどな」

「おや、人の所為にするのですか」

「早くどけってば。そいつから」

「やれやれ……。しかし過保護過ぎやしませんか? 頭領として、甘すぎやしませんか?」

「あんたが言える立場かよ」

「おっと……、構えないで下さいよ。大人しく退散しますから」

「さっさとそうしてくれ」

「では、また」

「…………」



「おーい、蜥蜴」

「は、……ひ、……うっ」

「返事しろ」

「ぅ、……はひぃ」

「動かしても平気か」

「……へいき、で、す。も……だいぶ、斬られてから、経ったから……」

「そうか」

「しばらく、したら、戻ります……。すみま」

「喋るな」

「へ? わっ……う、ぁ……!」

「痛いのは我慢しろよ。直ぐに着くから」

「蝶々、さま。蜥蜴……一人でも、だいじょぶ、です」

「こんなところに放っておけるかよ。獣に喰われんぞ」

「う……。すみません」

「だから喋るなっつうの」

「すみません……」





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