火曜日

パソコンの画面に書かれていることを見てから壁にかかっているスケジュールを確認する。今週の日曜日、練習試合。

――休みなんすか? いいねー。俺らは武蔵森で練習試合。

送信完了したのを見て数分ネットサーフィンしていればメール受信中のアラート。相手は携帯だから早いときは早い。遅いときは遅いのだが、それでもパソコンと比べればだいぶリアルタイムにやりとりが出来る。

――見に行こうかなー。三上くん出る?
――当然。来てくれたら藤代とか喜ぶだろうし。

相手は日曜日は休みだと言っていた。向こうも部活をやっているんだから休みは貴重だろうに、丸一日応援で潰してしまうつもりなのか。
けれど、レギュラーの一部のテンションとモチベーションが上がるは間違いない。

――差し入れとか持っていっても大丈夫? 何か買っていこうかな。

来てもらえて嬉しいのは自分も同じだった。差し入れなんて気を遣わなくていい、とは返したが、あの先輩に気を遣わないことは出来ないと思う。いつだって自分のことは二の次な人だ。少なくとも俺が見ているかぎりでは。
(あの人にとっちゃ俺らは年下だから)
それを歯痒く思ったこともあるが、同時に踏み込んではいけないとも思った。それが何故なのかは分からない。
自分らしくないだろう、そう言い訳しながら傍観者の立場を離れなかった。

――わかった。私も三上君達に会えるの楽しみにしてるよ!

返ってきたメールを見て、自然と口元が弛む。どうやって返信しようか悩んで悩んで、結局しなかった。

「亮、どうした?」

向かいで勉強していた忍が首を傾げて声を掛けてから、自分が笑みを堪え切れていないことが分かった。
彼にはそのまま言ってしまっても良かったが渋沢や中西に伝わってはつまらないのでルームメイトにも黙っておくことにする。
何なんだよ、と不満そうな声にはニヤリと意地悪い笑みを返して。




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