溶けたアイス

大好きな女の子にミルクバーを食べさせてそれでイケナイ妄想をするっていうのはもう王道だ。俺としてはヨーグルトとかもいいと思うんだけど、ヨーグルトをどうやってぶちまけるかとか、そういったことが問題だ。
「え、問題そこ?」
靖人が首を傾げるけど、問題はそこでしょ? ヨーグルトぶっかけるとかどんなシチュエーションだよ。
「っていうかアイス食ってるだけでそこまで考えるんだ」
スーパーカップのバニラは安くてボリュームがあるので靖人のお気に入りだ。俺はそんなに量を食べないのでピノとかアイスの実が好きだったりする。ちなみに今日はアイスの実。
寮にはアイスなんて贅沢なものはない。学校もない夏休みはコンビニまで行かないとアイスもお菓子も手に入らないのだ。
「普通でしょ。つーか先輩とアイスが同じ場所にあるのが悪い」
今のシチュエーションを簡単に説明するならバニラアイス(靖人のだけど)+先輩だ。つまりアイスと先輩が同じ空間にあるということである。
ちなみに、先輩はさっきまでスイカバーを食べていて手がベタついたとか言って洗いに行った。いくら俺でも本人の前でこんな会話出来ないから。
「あー……うまそー」
靖人の食べているスーパーカップが少し溶けて柔らかそうだ。美味しそう、色んな意味で。ぶっかけるとしたらこれくらいだよなぁとか。
「秀二……食べたいの?」
「いや別にー。ただぶっかけるとしたらそれくらいの――」
「ぶっかけるとか言うな!」
「靖人の声のがでかい」
靖人は仲の良い二年メンバーの中で一番初だと思う。笠井や間宮よりも、だ。かーわいいな。あ、先輩が戻ってきた。先輩も可愛い。今の俺って凄く幸せかも。
「きれいになったー」
照れ臭そうに笑う先輩は年上には見えない。これで二歳も上だって言うんだから驚きだよねぇ。
「せんぱーい、アイスの実食べるー?」
「えぇーさっき手洗ってきたばっかだよー」
「俺があーんしてあげる!」
言葉を無くした先輩ににっこりと、気味が悪いと言われそうなほど満面の笑顔を浮かべる。
俺にどんな風に思われているかなんて知らない先輩。そんなところも大好きだよ。






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