抑制剤と騙して媚薬を盛る話



その日は木兎さんの機嫌が悪かった。ときどき見せるしょぼくれモードの比ではない、不機嫌なのである。理由は俺もなんとなく理解している。度重なる遠征によって夜の営みが減ったことに対する欲求不満と、最近しつこい女性に纏まりつかれていることも原因の一つだ。α性も大変だな、他人事だが。
フラストレーションを募らせた木兎さんの矛先にいたのは俺ではない。今もベッドの上で甘い声を上げている彼女が、可哀想なことだがいつものように餌食になっている。しかも今日はいつもと少し違う。
発情期の始まった彼女に、抑制剤だと騙して媚薬を飲ませた。木兎さんが同じα性の友人から勧められたというそれはアダルトグッズなんていう可愛いものではない。
現に今の名前からは普段はみられる羞恥心が失われている。真っ赤に火照った頬を涙が流れ、口元は力もなく舌が誘うようにはみ出していた。そして、まだ何も触っていないのに腰がいやらしく動いている。
「えっろ……。なぁ名前、はやく挿れてほしい?」
「ぼくとさん……っ」
キングサイズのベッドが2人分の体重を受け止めて小さな音を立てた。きっと木兎さんのモノも準備万端で、今にも突っ込んでしまいたいに違いない。それでも、いつになくトロけた顔を見せる彼女に普段なら言わないような言葉を言わせるなら今しかない。
「自分の口で言えるよな? どこに、なにがほしい? どうしてほしい?」
案の定の木兎さんの言葉に名前はぐずりながら答えた。
「わたしのなかにっ、ぼくとさんの……おちんちん、いれてぇっ……いっぱい、ほしいです……」
「なかってここ?」
ちゅぷりと木兎さんの指が中に入る。しかしそのまま動かすことはせずに、ゆっくりと抜き差しをするだけだ。物足りなさそうに腰をくねらせた、自分でも秘部を触ろうと伸ばされた手はベッドに縫いつけられる。
「もっと……もっとください、もっとおっきいの……ぼくとさんのがほしい、ぇす……っ!」
「じゃあイヤらしい言い方しような。ほら、これ挿れてやるから」
「……やっ、ひゃぁ……、っぼくとさんのおっきいおちんちんください……。ふぁ、わたしのなか、ぐちゃぐちゃにして、いっぱいくらひゃぃ」
「よーし、んじゃ……やってるか!」
「あ、ぁ……ひゃあんっ!! あっ、ひゃっ!ァーーッ、あんっ、ひぃ、ひぁっ」
パンッパンと肌のぶつかる音がする。涙混じりの嬌声のエロさでソファに腰掛けて2人を眺めているだけの俺のモノも元気になってきた。
「あぅっ……あんっ……! ぁ、あぁっ…だめぇ…っ…」
「なんでだめ?」
「ひゃぁ……あひっ……やぁんっ! あぁんんっ!! いっひゃうっも、むいぃ、いっひゃう、ぼ、くとしゃ、あっァ……ッ!!!」
いつもより早く名前は達した。髪を振り乱し、大きく身体を跳ねさせながら。薬の力ってすごい。「俺まだイってないんだけどなぁー」と言いながら木兎さんは腰を動かすのを止めない。ひっきりなしに聞こえる喘ぎ声はもう抑える術が分からないようだ。
「あかーし、こいこい」
「俺もいいんですか」
アンタのストレス発散でしょう、と言えば木兎さんはニヤリと悪い笑みを浮かべた。
「だって、名前が俺のだけじゃ足りないって」
「あぁ、そういうことですね」
「ぼくとひゃん……うごいて、ぁ、はぁ、もっと、いっぱい、くらさい……」
俺と話しているうちに動きを止めた木兎さんに手が伸びてきた。腰を掴んでいた木兎さんの手を握りしめて先を促す姿は淫乱そのものだ。それに笑った木兎さんが宥めるように手を包み込む。
何をするのかと思いきや、繋がったままの身体を持ち上げて胡座をかいた自分の上に落とした。いきなり体面座位の姿勢になり、声が大きくなる。
「あっ、あぁっやっやあ!! やぁ、おくっおくきてるっ!! やらぁっ!」
「はいはい、きもちいーもんなぁ」
蕩けきった顔と声で感じていることなんてよく分かる。上手く閉じられない口からは涎が垂れていて、恥ずかしい姿になっている。それがこちらの劣情を煽ってくる。
「やめ……っ! また、イっひゃうっ! イッ、やっやあ、ァ、ひゃあああっああんッ!!!」
両手両足で目の前の木兎さんにしがみついて名前がイった。今度は木兎さんも出したらしく、あーよかったーとか言いながら動きを緩めている。
「赤葦、どっちがいい?」
「……2本入りますかね」
「大丈夫だろ!」
「あっ、あう……んん……もっとぉ」
「こーら、ちょっと待って」
「ひゃあんッ」
自分で動こうとした名前の尻を木兎さんがぐっと鷲掴んで左右に広げると、俺からは2人の繋がっているところが丸見えになった。デカすぎる木兎さんのモノも奥まで飲み込んでしまっているナカは、すっかりハメられることになれてしまっている。
「名前ー、だぁいすきなおちんちんでたくさん突いてもらおうなぁ。ほら、赤葦が気持ちよくしてくれるぞ」
繋がったままの苦しい姿勢で、彼女が首を捻ってこちらを向いた。潤んだ瞳と上がった息が確実に俺を誘っている。
「あかーししゃ、くらひゃい……」
木兎さんが彼女を自分の方へ引き寄せる。ズ、と抜けかけてもそれでもまだ木兎さんのモノが半分くらい入っている入口に俺も自分のモノを宛てがう。入口から滴る蜜も擦れる木兎さんのモノも熱い。
「きっ……きつ」
既に一人分を受け入れているナカにゆっくりと押し込んでいくがどうしても無茶がある、先端しか入らない。
「いっ、やぁあ……っ! ひっ、はぁっ、あっ、ッう……!!」
声に苦痛の色が混ざる。明らかに快楽より痛みの方が増しているようで、さすがに木兎さんも眉を寄せ宥めるように頭を撫でた。
「名前? 抜くか?」
「やだぁ……あっ、抜かないれ……、ひっ、ん、くりゃひゃいぃ……」
身体を強ばらせながらそう懇願された。クチクチと入口から音がする。なんとか力をぬこうとしているせいでナカが収縮を繰り返している。
「んっ、ひぃっ、ひ……ん、んぅ、ちゅ」
木兎さんに口を塞がれ僅かに緊張が緩んだ隙に奥へ押し込む。ギュッギュッと締め付けてくる刺激のおかげで気を抜くとやりたいままに激しく動いてしまいそうになる。
「入った……。……ねぇ、動きたいんですけど」
「ん、んふ……んぅ」
この人達キスに夢中になってこちらの話を聞いていない。そちらの方が名前の負担も少なかったのだから仕方ないけれど、そろそろ俺も気持ち良くなりたいから黙っていられない。
「どうなってもしりませんよ」
「はっ? あか、あっ――うっ!」
「あぁっ! ひゃあっ!! あ、あっ、あ、あぁっ」
木兎さんのモノごとナカに擦りつける。いつもよりキツイ、気持ちいい。動きに合わせて喘ぎ声が零れている。まるで音の鳴る玩具のように身体を好きなように動かされ、その度に意味の無い音が口から漏れる。
「いいっ、いっあっ、も、もっ、はァ、もうっ」
「ハ……きもちいなー、名前、たくさんイかせてやるからなー」
「イっ……ちゃ、イくっイくぅう……っひゃっああっ!!」
「っ、は、ぁー……」
イったときに締め付けられた刺激で俺も射精した。ナカが一層ぐちょぐちょになる。1人だけイっていない木兎さんが俺達にお構いなく動くものだから、またすぐに勃ちあがっていく。
ヌルヌルと滑りやすくなったおかげで腰の動きも早くなる。彼女も自ら腰を揺らし始めた。
「イッひゃゆっ、イッ、あぁっ! ひゃっ、やひゃぁっ!! またイゆぅっ!」
「おっ、またイくか?」
「ハマっちゃうんじゃないですか?」
「やらぁっ、ァ、あっ、いっ……ひんっ」
二輪挿しかイけなくなったらどうしようか。ああ、でもそれもいいかもしれない。そのときは物足りなさに啼く彼女を眺めているのもいいだろう。
「っし、俺も出すからなぁ」
「はひぃ、くらさいぃい……!!」
木兎さんが呻き声を漏らし、最奥に注ぎ込むようにグッと深くまで突き刺した。俺にも分かるくらい、ナカに液体が広がっていく。
「あっ、はぁぅ、はぁ、はっ、あんっ」
彼の長い射精が続く中で、名前が震えるおもちゃのように腰をガクガクと揺らし始めた。きゅん、と強い締め付けの所為もあって俺もイきそうになってくる。下から突き上げてやると隙間から零れた精液が空気と混じり合いジュポジュポといやらしい音をたてた。
「名前っ、俺も、イくから……っ」
「あかーしさ、くゆ、あうっ、ほひぃ、れす」
なんとか俺の顔を見ようとして首をひねるその姿がいじらしい。実際には下から攻められている状態で動くことなんて不可能なのだけれど、その必死な姿にグッときた。
出来るだけ腰を押し付けて、まだ木兎さんが出し続けているナカに自分のものも注ぎ込んだ。
「あつい……おなか、あついよぉ……や、や、やらよぉ」
二本挿さったままの入口から入り切らなかった精液が溢れ出している。心なしか膨らんでいる下腹部に手を当てて放心している名前の首筋に口付ける。
「これ……もし孕んだとしてもどっちの子か分かりませんよね」
「別にどっちでもいいんじゃね?」
どちらの子であろうとどうせ3人で育てていくのだから。たしかにそうだ、と木兎さんの言葉に頷く。誰にでも優しく愛情を与えてしまう彼女が母となり自分達の巣に住み着くようになるならば、その過程や理由などどうでもいいのだった。




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