梟の生贄

(名前視点)

「あっ……や、やぁ」
お腹の下、内側に広がっていく熱いものはまだ出ている。奥深くにずっと注がれてるから、このまま中が全部埋まってしまうんじゃないかと思うくらい。
「ぼくとさん……ぬいて、だしてください……っ」
「あー……。ごめん、今出してるから、ちょっと待ってな」
知ってる。αの人は出してる時間が長いんだって。木兎さんに挿れられて、出されるのも初めてじゃない。
今だって、恥ずかしくて馬鹿みたいだけど、たしかに気持ちいいと思う自分がいる。発情期の所為で性欲が抑えられなくなって、その結果がこれだ。
「苗字さん、大丈夫?」
背中の方から声がする。真正面から木兎さんに突き刺されたままで身体を動かすことも出来ないから、首だけ痛くなるほど後ろへ向けた。
赤葦くんが涼しい顔をしてる。彼は私の中にいれようとせず、私の身体を好きなように弄ぶ。
今だって心配したのかと思えば彼の指が下の方に伸ばされる。
「あぁっ……!や、やめ、だめっ……!!」
結合部の前、飛び出た芽をぎゅっと摘まれる。きゅ、きゅう、とその度に木兎さんのモノを締め付けることで形がはっきりと分かってしまった。
「あーっくそ、何してんたよ赤葦ィ……」
「この子、挿れられたままクリ弄られるの大好きですよね」
「搾り取られそーだわ、これ」
「木兎さん、まだ頑張ってくださいよ」
「だ、めっ……! あふれる、やだぁ……ひゃっ!」
強く引っ張られたり摘まれる度に腰がビクビク動いて、中のモノを強く感じてしまう。木兎さんと私のものでぐちょぐちょになった中はぬるぬるしてて、気持ちいい。
まだ終わりそうにない木兎さんからの熱に、自分の欲も満たされていく気がした。怖いくらいの快楽。
「苗字さんと木兎さんの子ども、すごい楽しみだな」
そう言って笑う赤葦くんの顔が普段より子どもっぽくて、可愛いと思ってしまった。


(赤葦京治視点)

「ん、んっ……んぅ、う」
「っ……あー、気持ちイイか?」
言葉を発することが出来ない彼女は木兎さんの問いにコクコクと銜えたまま首を動かして肯定する。唇の隙間から熱っぽい吐息が零れた
木兎さんのものを頬張る顔がハムスターみたいで可愛くて、それでいて涙で蕩けた眼差しがエロい。
ゆっくりと前後する口元からデカいものが出たり入ったりするのを眺めながら、剥き出しになった胸へ背後から手を伸ばした。
「ん、んんっ! あふぁ、ひゃっ……! っふ、んぅ」
「あっ、締まった」
この子は胸の先を弄られるのが好きらしく、摘んで引っ張ったり指で転がしたりすると面白いくらい反応する。さっきも酸素を求めていたのか口の中の木兎さんのものを吸い上げていた。ぢゅぅ、ぢゅ、と厭らしい音がする。鼻だけの呼吸では苦しいだろうに、フェラを止めないのはそうやって教えたからに他ならない。
今度は口から出して舌でなぞったり先っぽだけ口に含んで転がしている。最初の頃は下手で木兎さんにされるがままになっていたが、今では苗字さんが積極的に動いている。
「木兎さんのオイシイ?」
「ぅ、ん……おいひぃ、ぼくとひゃん……」
「胸も気持ちイイ? やめようか?」
「やら、やめないで、ひぁ……きもちいの、あかーしくん、きもちいです」
気持ち良いかと聞かれたときは素直に答えることも何度も教えこんだ。イイことと嫌なことを飴と鞭で使い分けて、犬の躾のように。
「なぁ苗字……せーえき欲しい?」
木兎さんの表情も快楽の色が強い。苗字さんの頭を掴み動きを止めさせると、汚れた顔を見て笑っている。
笑われていることも分からないのか、彼女は聞かれたことに素直に答える。
「ほひぃ、れす……ぼくとさんのせーえき、らしてくらひゃい」
あ、と口を開ける。ここに欲しい、と言っているのだろう。けれどこれだけでは足りない。
胸に這わせていた手を下へ動かし、腫れあがった陰核を転がしてやる。
「ひゃうっ! あ、あか、しく……」
「もっと厭らしくおねだりして? 名前のおくちに沢山射精して、名前がおくちで妊娠できるように……たくさん下さいって」
「ん……ぼくとしゃん、せーえき……いっぱいだしてくらさい、わたしのおくち、たくさんだひて……ぼくほひゃんのせーしでにんしん、しひゃいまふ……」
舌を突き出しながらでは当然回らない呂律で、俺に言われた通りの言葉を復唱する。
発情期になるとΩは発情以外のことが出来なくなると聞いていたが、苗字さんは特に酷い気がする。確かに、悪化させたのは俺と木兎さんに違いないけど。
絶頂を目前にしていた木兎さんのものは少し擦っただけで限界を迎えた。吐き出された精液が苗字さんの顔を白く汚していく。
αの例に漏れず木兎さんの射精は長く、その間彼女は顔に付いたものを掬っては舐めては飲み込む。
動物の餌やりの時間を見ているみたいで、なかなか面白い光景だと思う。
「おいしい? 足りない?」
苗字さんは木兎さんのからかいに頷き、未だに射精の続いている性器を銜え込んだ。動物が母親のミルクを飲むようにちゅうちゅう吸ってはゴクリと喉を鳴らしている。
「ふぁ……おいひぃ、ん、んん……ふぁ、すき」
蕩けきった精液まみれの顔で口を開けばその端から唾液も混ざったものがトロリと零れた。理性や羞恥といったものが見られない雌としての顔だ。
何度も教えこませた「すき」はきっと彼女にとってなんの意味も持たないものだ。もうきっと、その言葉の意味を聞くことはできないんだろうな。


(名前視点)

寒いのは裸だから仕方ないか。布団を被ってるとはいえ、最近は朝晩は冷え込む。11月に入ってから何日が経ったんだろう。
ベッドから出て、ひんやりとした身体は両手で摩ると少しだけ熱を持つようになった。
「苗字さん、おはよう」
「赤葦くん……おはよ」
新しい下着を着けて脱ぎ捨てられていた木兎さんのパジャマを借りる。音のするキッチンに向かうとそこにいたのは赤葦くんだった。木兎さんの姿は見えないから、出掛けたのかな。サラダを盛り付けていた手を止めて、私の前までやってくると顎を取られて口付けられた。
唇に軽く触れるだけのものと、頬と、鎖骨のあたりには音が漏れるくらい強めに。
「ぁ、……木兎さんは?」
「大学。今日の午前までのレポート出しに行くんだけ。ほら、座って」






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