白澤と男装少女(鬼徹)

香水の匂いに顔を顰める。この人にデリカシーを求めても無駄なんだろうなぁ、と思いながら自分を押し倒した目の前の男を見つめた。
「何でみんな君を男だと思うんだろうねぇ」
「さぁ……まぁそう思って貰えるようにしているので良いことですが」
着物の合わせに手が掛けられる。何度繰り返された行為でも羞恥心が薄くなることはない。少女の頬に朱が差したのを見て、白澤は目を細めて笑った。
「君はいつでも生娘のようだね」
からかうように言われたのが悔しくて何か反論しようと思ったが、言葉が出なかった。ここで感情を露にしては彼の思う壺だと、つとめて淡々と返した。
「ど、うぞ…………お好きにして下さい」
「大丈夫。うんと優しくしてあげるよ」