gift | ナノ





「委員長ー!た、大変です!またあの編入生が今度は食堂で騒ぎを!」
「くそ、またあいつか…」

舌打ちせずにはいられない。
家庭の事情とやらで少し遅れてやってきた編入生は、毎日どこかでトラブルを起こす。
いい加減面倒になってきていたので、委員に対応を任せて風紀室に戻ろうとした。
―――今回の被害者は会長だと聞くまでは。



「何しに来たんだ小笠原」

むすり、と機嫌の悪い沖野の頬は赤く腫れあがっていた。
唇は切れていてうっすらと血が滲んでいる。
殴り飛ばされた拍子に肘や手も擦り剥いたらしく、騒がしいチビは保健室から叩き出し、消毒液を染み込ませた脱脂綿を傷口に当てた。

「ってぇ、優しく出来ねぇのかよ!」
「十分優しいだろ俺」

涙目になる沖野、ごくりと唾を呑み込んだ。
強気で反発してくる奴ほど弄り甲斐がある。

「てめぇが優しい奴なら世の中優しい奴ばっかりなんだよ!」
「はいはい、消毒しような」
「いっ…!この野郎…今わざとやりやがったな」

やばい、やっぱりこいつ弄るのすごく楽しい。
でも、沖野に傷をつけたあいつを野放しにするのはもうやめだ。

「沖野、その怪我治るまでにケリつけてやっからベッドで待ってろ」
「誰が待つかよ!小笠原も殴り飛ばされて来いよ」

睨み合った後、堪え切れなくなった俺が吹き出すのとほぼ同時に沖野も笑い声を上げた。

「ふっ…くく、はははっ」
「ぶっ…ベッドはねぇだろ、ベッドは」

表面的には犬猿の仲で有名なのだが、沖野とは恋仲である。
もちろん同じベッドで一夜を明かしたこともある。
関係を秘密にしているのはなんとなく。
ある日突然ばらしたら、皆面白い顔をしそうだ。
俺も沖野も楽しければそれでいい思考回路なのだ。
そうであっても、編入生は許す訳にはいかない。

「恋人の仇討ちは俺だってやるぜ?」
「任せた」



すっかりガーゼも取れて傷痕も癒えた頃に、一人の人間が学園から立ち去っていた。



GAME OVER
(地雷を踏んだ)




*end*
うわぁぁあ二人ともかっこよすぎて涙でましたありがとうございます…!
かっこいいよ会長!かっこいいよ委員長!二人ともかっこよくイチャイチャして下さって私はもう!もう…!
(題名かっこよすぎてそれだけでたぎったのはここだけの話)


りんごさん、素敵小説ありがとうございました!
これからもよろしくお願いします!




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