gift | ナノ





街を焼く業火。暴れまわる異形の生物。
響く悲鳴。助けを求める声。

地べたに這いつくばり、なすすべもなくそれを見ているしかできない、自分。



「―――無様だな、レッド」
「て、めぇっ!!」



落ちてきた影の主に、ぎりっと拳を握る。
ゆるり、差し出される手。ついでその口から吐き出された言葉に、俺は目を見開いた。






【囚われた焔】






「………っ!」



びくり、体が跳ねて目が覚める。荒い息。ぐるぐる回る視界に目を閉じる。
俺はまた気絶していたらしい。ここに囲われてからというもの、いつもこの夢のこの場面で目が覚める。いや、夢というよりも、フラッシュバックと言った方が正しいか。



「…気持ち悪ぃ」



やっと収まってきた目眩に少し息を吐く。しかしそれが収まったら収まったでじくじくと疼く下半身にまで気を回すことができるようになってしまって。熱い息を吐きながら身震いすると、両手を一纏めに上から吊り下げている鎖がじゃらりと音をたてた。
どうにか気を反らさなければ。ちらり、部屋の一面に嵌め込んである窓に目を向ければ、目に飛び込んでくるのは真っ黒な背景にぽかりと浮かぶ青い星―――地球だ。






俺は今、地球に攻めてきた組織のトップの男、アークに捕まっていた。
元々その資源の豊富さから他の星から狙われやすかった地球。そんな俺たちの星に突如攻めてきたアークの組織はしかし、他の奴等と比べて格段に手強かった。数も、強さも、比べようもなく。地球防衛隊の中の精鋭五人で組織された俺たちでも、下っ端にさえまったく歯が立たないほどで。不甲斐なくも歯痒くも、リーダーを任されていた俺でさえ手も足もでなかった。
足掻こうにもどうにもならず、虚しくも倒れ伏す俺の前に現れた男。ただ睨み上げることしかできない俺を見て、そいつは愉快そうに笑ったのだ。
そうして、手を差し伸べた。



『私と共に来い、そうすればこれを止めてやろう』



阿鼻叫喚。
悲痛な叫びと止むことのない爆発音をBGMに―――…俺がとれる選択肢など、1つしかなかったのだ。






「なんだ、起きていたのか」
「アーク…!」



さっき意識があった時よりもまた少し遠くなった故郷を見つめていたところに唐突にかかった声に、はっと意識がこちらに戻ってくる。そこには紫のスーツと真っ黒なマントを身に纏った恐ろしいほどの美形。銀色の長い髪をバサリと後ろに払い、ゆっくりと近づいてくる。



「どうだ、少しはよく眠れたか?」
「っ、おかげさまでな!」
「ならいい。ちょうど私も一仕事終えてきたところだ…いい子にしていたんだろうな?」



からかうように小首を傾げ、艶やかに笑う男をぎりぎりと睨み付ける。しかし昨日快感というものを散々覚えさせられた体は、人間よりも遥かに体温の低い指が顎をなぞるだけでびくりと反応してしまう。昼も夜もわからないこの宇宙船の中で、昨日という認識が正しいのかはわからないが。
そのまま下へと向かう長く骨張った指を視線で追って初めて、今自分がなにも着ていないことに気づいた。



「てめぇ!俺のスーツどうしやがった…!」
「ん?処分させたが?なんだ、スーツプレイが好きなのか?」
「ちがっ!あれは!あれさえあれば…!」
「なんだ、あれを着てれば私に勝てるとでも?…笑わせるな。お前に敗北の味を教えたのは誰だと思っている、レッド」
「くぁあっ…!」



ぎりりと両方の乳首を摘ままれて、鋭い刺激に背中がしなる。そうすることで寧ろ胸を奴の方へと突き出す形になっているとわかっていても、ぷっくりと勃ち上がったそれをこりこりと弄られればびくびくと反るのを止められない。



「ひ、ぁ、んんっ!」
「ふふ、だが確かにスーツもよいかもな…この乳首も腹筋も、綺麗に浮き出ることだろう。今度新たに作らせようか」
「っん、ふぁ、はっ…!」



感じてひくひくと脈打つ腹筋を撫でられて、ぞくぞくと背筋が震える。がくがくと膝は笑い、自然と逃げを打つ体を繋ぎ止める鎖ががしゃんがしゃんと音を響かせる。手からも快感からも逃げ出すことができずに、なすすべもなく荒く息を吐きながらただただ震えるだけの体。自分の無力さに歯を食い縛っていた顎が掴まれ、無理矢理顔を窓へと向けさせられた。



「見ろレッド、お前の愛する地球はもうあんなに遠い」
「っだから、どうしたってんだ…!」
「いや…哀れだと思ってな。自分がなぜ助かったのか知らず、疑問も持たずに安穏と暮らす地球人なんぞのために、お前は一人犠牲になってこんな所でこんな目に遭っている」
「誰の、せいだと…!」
「っくく、お前たちが弱いせいだなぁ」



なぁ、そうだろう?
低く甘ったるい声を耳元で直接吹き込まれ、信じたくない快感が背中を駆ける。耳の縁をねっとりと舐められてぶるりと震えた。
ちくしょう、なんで敵の声で感じなきゃならない…!



「っく、そ…!」
「強情だなレッド、流されれば楽なものを…」
「誰が!」
「ふふ、いいカオだ…そうでなければ連れてきた意味がない」
「ひ、ぁあっ…!」



満足気に笑んだアークは、それまで上半身で遊ばせていた手を下へと伸ばした。それまでの刺激で勃ち上がっていたモノをしごかれ、不意をつかれた口から耐えるまもなく嬌声が溢れ出る。唐突に流し込まれた直接的な刺激にびくびくと震えを止めることができない。
そんな俺に目を細めたアークが、戦闘時は凶器ともなる長く鋭い爪を尿道口へと刺し込むのと、ずっと後ろにくわえさせられていた玩具を引き擦り出すのは同時だった。



「ッ、ああああっ!!」



スパークする思考。真っ白になる視界。
がくがくと跳ね回る体も、ひっひっと震える喉も、制御などできるわけもなく。合わない焦点をどうにか合わそうと、うろうろと宙を視線をさ迷わせる。
尿道口を塞がれていたせいでイきそこねた体は、もうイきたいということしか考えられない。しかし同時に、ずっと入れられていた玩具がなくなって寂しいとでも言うように、後ろの口がはくはくと開閉をするのがわかって死にたくなる。



「かはっ、ァ、あ、」
「こんなに欲しがって…健気なことだ」
「ちが、いらねぇ…!」
「そう遠慮するな、ほら…」
「ひ、ゃ、ぐぁああああ」



空いた空間を埋めるように挿入された逸物は、人間では有り得ないサイズの、謂わば凶器で。とろとろに蕩けていたはずの中をそれでも狭いとごりごりみちみちと割り開いていくそれに、体の痙攣が止まらない。息ができないほどの圧迫感に、酸素を求めて口が開閉し喉が震える。
こちらのことなど気遣いもせずに動き出すアーク、同時に爪が出し入れされる尿道。視界が霞むほどに苦しいはずなのに、苦痛よりも快楽の方ばかり拾う体。余すところなくみっちりとくわえこんだモノに弱いところをごりごりと擦られ、塞がれた尿道をずりずりと刺激され、苦しいほどに空イキを繰り返す。



「ア、ぁ、ぁ、ひぁっ」
「ふふ、感じすぎて苦しいか?」
「っくそ、が…!」



勝手にぼろぼろと溢れる涙。出口を塞ぎながらもう片方の手でしごかれ、突き上げられ、過剰な快感が全身を蝕む。イきたくて、出したくて、堪らない。
涙が頬を伝うのも、それを舐めとられるのも、もう快感としてしか認識できなくて。もう要らない。これ以上の快感は、本当に要らない。もうすでにキャパオーバーだというのに。



「も、ゃ、ぁッ、ッ、ッ!」
「もう限界か?辛いか?…可哀想に、辛いだろうなぁ」



片手が離れ、ぐいと顎を上げられる。その拍子に長い爪が喉を擽り、それだけでぞくりと総毛立った。



「私のものになれ、レッド。そうすれば快楽も、自由も、なんだって与えてやる」



信じられないくらい綺麗な顔が、至近距離で俺を見つめる。俺は荒い息に胸を喘がせながら、それでもぎりぎりと睨みつけた。



「…っけんな!誰がてめぇなんかに!!」



お前の手を取りはしたが、お前のものになるとは言っていない。なにを与えられたところで、そんなことこっちから願い下げだ…!

愚かな悪足掻き。実質こいつのものでないのとどう違うのか。
だけど、この抵抗こそが、俺の最後のプライド。



「ふふっ、そうでなくてはつまらない」
「ぐぁっ…!」
「いつまでその瞳をしていられるか見物だな…簡単に堕ちてはくれるなよ?」



髪を引っ張られて無理矢理あげられた顔。
目に飛び込んでくる大きな窓。



「安心しろ、堕とすための時間なら、腐るほどあるからな」



故郷だった青い星は、遥か彼方、真っ黒な闇の中へと消えていた。





*end*
とも様お誕生日おめでとうございます!
戦隊えろ…ありきたり感半端ないですが楽しかったです…!もっとレッドの抵抗というか正義感出したかったですこれじゃただの強気男子…アーク視点なら出せたのかな…。
こんなものでよければ貰ってやってください!




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