キリリク | ナノ
僕ら双子は2人で1人。
別々になんかわけられない存在なんだ。
「ん、んぅ…む…」
「ふ…ん、ぁ…」
絡め合っていた互いの舌をそっと解いてくっついていた顔を離す。つ…と互いの口から伸びる銀糸がキラキラと綺麗で、顔を見合わせてふふ、と笑った。
「綺麗だね、海斗(カイト)」
「これが?それとも僕が?」
「もちろん海斗が」
「ふふ、陸斗(リクト)も綺麗」
あぁ、愛しい、愛しいなぁ。
この世に2人と存在しない、大切な大切な、運命の片割れ。
僕らが別れて生まれてきてしまったのは、きっとお互いを愛し合うためなんだ。
「ね、今日はどっちが挿れる?」
「うーん、昨日はどうしたんだっけ?」
「覚えてないよ」
「覚えてないね」
「「まぁどっちでもいいけどね」」
そう、そんなこと僕らにはとても些細なこと。
だって僕らは2人で1人。
お互いの感情も、痛みも、快楽も、全部全部一緒に感じるんだから。
挿れる悦びも、挿れられる痛みも、何もかも―――…
2人でキスをしながら笑いあっていると、この場に不釣り合いな騒がしい足音が響いてきた。
あぁ、やっぱり早く帰ってればよかったな。生徒会室は今まで憩いの場だったはずなのに、いつから部外者が入れるようになったんだっけ。
「陸斗、海斗ー!!」
ノックもされずに勢いよく開け放たれた扉。入ってきた最近よく見るマリモ頭に二人一緒に眉を潜める。汚ならしい格好にわけのわからない思考回路。初めて喋った時にあだ名は即決。もちろん“宇宙人”。
いやだいやだ、あんなもの見たくない。ぞろぞろ一緒に入ってきた副会長達も大分醜くなったものだね。
「2人だけで何してるんだよ!?」
「何でもイイデショ?」
「君には関係ナイヨー」
「そ、そんなこと言うなよ!親友だろ!」
うええ勘弁して。親友なんて冗談でしょ?
僕らの世界に親友なんてカテゴリーはないんだよ。“僕ら”と“それ以外”で出来ているんだから。
もうここにはいたくないと二人一緒に立ち上がると、金魚のフン達が怒りだした。
「ちょっと貴方達、由紀(ユキ)が話しかけてるのに失礼でしょう?」
「そうやって2人だけで閉じ籠るのやめてよねー」
「や、やめろよみんな!俺のために喧嘩しないでくれ…!」
あぁなんて茶番劇。鬱陶しいったらないね。
マリモ頭と副会長と会計と一匹狼と爽やかとホスト。揃いも揃ってこんなガキんちょ相手に何やってんだか。
恋は盲目?痘痕もエクボ?
だとしてもこれはやりすぎでしょう。
なんか知らないけどみんなでギャーギャーやりだしたから、それこそこれ以上ここにいる必要はないと歩き出す。どうせ下らないことなんだろうし、僕らには関係ないよ。
―――それに、そろそろ寂しがっているだろうから。
「泣いてるかなぁ海斗」
「寝てるかもよ陸斗」
「えーそれはお仕置きじゃない?」
「うん、それはお仕置きだねぇ」
僕ら双子は2人で1人。
別々になんかわけられない存在なんだ。
だから僕らは、2人で愛す。
大切な人も、僕らは一緒。
初めてなんだ、“僕ら”と“それ以外”と―――そして“あなた”という存在は。
ねぇ、だから。
「「ただいま会長、寂しかった?」」
だからあなたも、僕ら2人を愛してよ。
*end*
書記双子:陸斗(リクト)・海斗(カイト)
王道転入生:由紀(ユキ)
会長:出番さえない
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