企画提出物 | ナノ
苛々していたところに絡まれたから、遠慮なくぶちのめしてやった。ぐわっと身体中を一気に血が巡って、面白いくらいに昂って。こうなってしまえばもう、殴られても蹴られても切られても、なにも感じることはない。立ち上がるものも逃げ出すものも、動くものはすべて沈めた。
そう、それなのに。
(あぁ、物足りねー…)
欠片もすっきりしないのは、なぜなのか。
死屍累々となっている場から離れつつ煙草を取り出す。切れた唇から滲む血をぐぃと甲で拭いながら上げた視界。
そこに飛び込んできた男の姿に――――冷めていたはずの体が、一気に熱を持つのを、感じた。
【一匹狼調教計画経過報告】
「今日はまた久々に派手にやってたな、なんかあったか?」
「ね、ぇよ!お前にゃかんけ、な…ひっ…!」
「へぇ、そういうこと言うんだお前は」
ぎしり、口元だけで笑いながらベッドに乗り上げる男の手が悪戯に乳首のピアスを弄ぶ。後ろに入れられた玩具も緩く中を掻き回すだけで、もどかしい刺激に気が狂いそうだ。
後ろについた手は、立てて開いた脚は、もう拘束などしてくれなくなった。
ぶるぶると震えてどうにかしたくて堪らない手も脚も自由なはずなのに、しかし決してなにかをすることは許されない。
「なに、なんもしてねぇのに濡れすぎ」
「う、るせ…!ふ、ぅ、ぁ…」
「我慢してるだけで感じてんの?」
「っ!ひ、ぃ…!」
我慢―――その言葉を聞くだけで、体が可笑しくなるようになったのは、いつからだったか。
びくびくと腰が揺れる。少しでも気を緩めれば達してしまいそうで、ぎりぎりとシーツを握りしめた。
ただの、対価だ。
家に自由を許してもらう条件である成績キープのための、対価。授業にでない俺は、唯一の知人のこの幼馴染みにノートを借りる対価として、こいつと寝ているだけだから―――…
「なに、考えごと?」
「あっ、あ、ひあっ」
「ははっすげぇな、腰踊ってる」
唐突に中のものが激しく突き上げ暴れだした。すぐにてもイッてしまいそうで、快感を逃そうと浮かした腰ががくがくと揺れるのを止められない。
するりと耳を撫でられて、いつの間にか間近に迫られていたことに気づく。
「ん、ここちゃんと治ったな」
「あ、ひっ!ん、ふうぅ…!」
「なに、中の辛いの?でも動くと危ないから動くなよ」
「ひ、い!むり、や、あ!」
こんなものに中を抉られている状態で、一体どうやったら止まっていられると言うのか。びくびく震える体を抑えようと耐えようとすると、さらにどうしようもなく感じてしまって。体の抑制など、疾うに利かなくなっている。
ひやりと耳朶を何かが撫でる。意識を戻すと眼鏡の奥で愉快そうに切れ長の目が笑った。この眼鏡が伊達なのを知ってるのも、この優等生キャラの男が狂った性癖を持っているのだと知ってるのも、多分俺だけ。
その涼やかな瞳に、仄暗い欲望が映る、この瞬間も―――…
「冷やしてないけど、お前なら我慢できるよな?」
「ッ!」
「こないだ千切っちゃったから、俺がまた開けてやるよ」
「―――ッ」
ガチャン、
音ともに耳朶を貫通するもの。
走る、痛み。
「ひ、い"あ"あ"あああっ!!!」
意識が飛びかける激痛。
視界が白む。
「――――ッふ、は、」
「ふーん…いい度胸じゃねぇの」
「ッ、あ"ああっ!」
冷めた声と再び襲った激痛に、無理矢理意識を戻される。
目の前には、冷たく笑う、幼馴染み。その顔と眼鏡には、少量の白濁が散っていた。
「まだイッていいなんて一言も言ってねぇよ」
「っ、」
「なんで我慢できないかな」
「ひっう、」
未だびりびりと痛む耳朶。焦点を合わせるだけでも必死だというのに。
“我慢”の一言に、懲りずにぞくりと震える体。
乱暴に引き倒されて、引き抜かれた玩具の代わりに熱いものが捩じ込まれた。ごりごりと前立腺を抉られて、耐えられずにすぐに折れた腕。尻だけを突き出す形でがくがくと揺さぶられる。
「あ、ああっ!ひぃいっ」
「痛くてイッちゃったわけ?この淫乱」
「あああっ!そこ、っかしく、なる…!」
痛いぐらいに敏感な粘膜を擦り上げられる。逃げようと足掻くも力の入らない四肢は言うことを聞かず、好き勝手に蹂躙される。
「ひっ、むり、むり、も、イッちゃ…!」
「また?我慢できねぇの?」
「あああっ!や、むりだっ…!」
耳元で囁かれて、体がおかしくなりそうでぼろぼろと涙が溢れる。ぶんぶんと首を振るも、それでどうにかなってくれるわけでもなく。
「仕方ねぇなっほらイケよ!」
「ひッ―――!!」
ガツンと前立腺を突き上げられると同時に、まだ鮮血を流すホールをピアスごとガチリと噛まれて。
「あっ、ああ、あ…!!」
吐き出す快感に体が跳ねるのを止められない。
後から後から体を巡り、収まろうとしない射精感。
しかしピアスへと移り、できたてのホールを再び引き千切る勢いで引っ張られて感じたのは――――
「あ、ひっひっ、むり、や、やばい…!」
「ん?ろうひた」
「あ、ああっでちゃ、でちゃ、あ、あああっ―――!!」
しゃあ…と音を立てて流れ出したのは、黄金色の液体で。
自分の視界に映る光景が信じられず、全てを拒否したくて、拒絶したくてたまらない。
だというのに、震える体は――――羞恥と、屈辱と、快感で、やはり止まることはなく。
「えっまじ?お漏らししちゃったの?」
「ひっふ、ぅ、い、いうなっ、ふ、」
「それで気持ちいいんだ?んっとにお前は…ほら汚れっぞ」
「はっあ、はっ、」
脱力した体を起こされ太股に乗せられる。
荒い息を繰り返すしかできずにいる俺の眼前に、てらてらとなにかに濡れた指が表れた。
鬱憤を晴らすための喧嘩も、ぶちのめしても拳を受けても、物足りなくて。
何をしてもどうしようもなく渇いていた、のに。
「ほら、舐めろよ」
こいつに眼鏡越しに見られるだけで、昂るなんて。
こんなことをされて、酷く満たされる、なんて―――…
自分の精液と尿を掬い、しとどに濡れたそれ。
誘われるように俺は、ゆるりと舌を差し出した。
*end*
○月×日
ピアス、お漏らし、尿を舐める。
調教は順調の模様。
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