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NL注意!
雰囲気BLです女の子かわいいよ女の子!








「あっゆーくんいた」
「まじ?わかんね、どこ」
「ほらあそこ、校門の横」
「んー…あ、ほんとだ。アホ面してら」



我が下宿先からバイクで五分。
ちらほらといる学生を追い越して校門へとつける。アホ面で待ってた男もこちらに気づいてのんびりと歩いてきていた。



「はい到着」
「ん、ありがと」



ひらりとバイクから華麗に降りた彼女がふわりと笑う。
うんかわいい。ヘルメットとって、中に収納されてた長い髪が流れるのも、ふんわり甘い香りがするのも、いい。好きだな。
そう鼻の下を伸ばしていた俺の隣にほいほいとやって来たゆーくんこと裕二(ゆうじ)が眠そうにひとつ欠伸をした。



「おはようゆーくん、眠そうだね」
「んー、1限とったのが間違いだった。それよりもお前は授業いいの」
「あっよくない。やば」
「6号館遠いから急げよ」
「はいあと五ふーん」
「わかってる!じゃいってくる」



手に持っていたヘルメットを祐二に渡す。ついで送ってくれてありがと、と俺の頬にキスをしてから走っていく後ろ姿に手を振る。
隣で裕二がもうひとつ大欠伸。



「んー…あいつかわいくなったなぁ」
「な、俺達ちっちゃい頃あいつに守られてたのにな」
「ほんとだよ、あいつめっちゃかっこよかった」
「俺達が弱っちかっただけじゃね」



幼馴染みとの懐かしい会話にニヤニヤしつつ、乗れよと親指で後ろを指す。俺は今日は全休だから、2限があるあいつを送って1限しかないこいつをピックアップするのがいつもの流れ。



「あいつがかわいくなったのは俺のおかげだけど」
「黙れリア充、はよ出せや」
「うちでいいの?」
「寝かせてくれるならどこでもいい」



そう言ってぎゅっと腰に抱きついてくる体温は眠いせいか確かにいつもより高い。そのままんー…とぐりぐり頭を擦り付けてくる幼馴染みに笑いそうになった。まったくこいつは、このまま寝る気じゃないだろうな。



「おい寝るな」
「ん…暖かくてきもちい」
「寝たら落ちて死ぬぞ」
「それは嫌だ…」



午前中の中途半端な時間に男二人でバイクに2ケツ。家までの住宅街をのんびり徐行運転。
この時間は嫌いじゃない。



「お前ね、今日1限で出席あるってわかってんのに昨日なにしてたんだよ」
「んーちょっと…出掛けてた」
「出掛け…?どこに?」
「バーで飲んでた」



またかよ、と笑いながら。顔に笑顔を貼り付けながら、ハンドルを握る手に無意識に力が入った。
一度だけ、こいつから借りたマッチに書いてあったバーを、調べたことがある。そこは所謂ゲイバーってやつで、何をするところなのかも、わかってしまって。
こんなに眠くなるほど、昨晩なにをしてたのか、なんて。



(そんなこと聞いて、俺になにができる?)



正解はわかってる。ちゃんと答えてくれないのもわかってる。
そんなこと聞くなんて、きっと誰よりも俺だけが、そんなことしちゃいけない。



(あいつと俺が付き合いはじめてから入り浸ってるって、知ってるから)






背中に感じる熱は、小さな頃から変わらない。
俺達の関係も、これからもきっと変わらないって、信じたい。



「なんか買ってく?」
「いらね、早く寝たい」
「えー…」



願うのはずっと隣にいられること。バカみたいに笑ってられること。
自分に都合のいい不変を望む俺は、小さな胸の痛みには気づかないふりをした。





*end*





―――――
TwitLongerより



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