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ひと握りの幸せを


「結婚したんだ」
ある日届いた宛名だけの綺麗な便箋の中には、結婚式への招待状が同封されていた。
結婚したのは、ウィンリィとエドワードくん。
彼らはいつかこうなるとわかっていたけれど、いざ現実になってみればとても嬉しいもの。
あの日々を振り返ってみても、やっぱり二人が一緒になるのは必然であったのだろう。
「良い知らせでも、届いたのか」
「あのね、エドワードくんとウィンリィが結婚式を挙げるんだって。その招待状なの」
「……そうか」
しかめ面に、難しそうな色が浮かんだ。
それもそうだ。
彼とあの二人との間には複雑な溝がある。
彼はしばしば考えて、自分は行けないと言った。
変に頑固で真面目な男なので、そう言うことは分かりきっていた。彼らもきっとそう思ったのだろう。
「でもここに『お二人で』って書いてあるんだよねぇ」
手元の招待状を奪われ、少しの間沈黙。
観念したように目を伏せた彼をみて、私は小さくガッツポーズをした。
それから、そっと彼の左手を握った。
不安だろうけど折角呼んでくれたんだから。
繋いだ手は今度こそ振り払われずに、きゅっと握り返された。




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