最近話題の、ホラー映画。
ホラーって言っても、怖いだけじゃなくて、サスペンス系統なのかな?
ショウくんも興味示してた。
「一緒に見に行こうか」
というショウくんの一言で、行くことに決まった。
「なんの話?」
と、いつものごとく話に入ってきたレイコ。
一緒に行くことになりそう。
なんて思ったんだけど。
「次の日曜日は演劇を見に行く予定なの、そっちの方が大事だわ」
変わらない、反感を持たせる口調でそう言い残して去っていった。
「今回は2人きりだね」
「え、うん」
2人、きり。
なんか変なかんじ。
いよいよ明日。
テレビでその映画の宣伝とか見てると、すっごく楽しみになった。
怖い話だったらいやだけど、そうじゃないみたいだから。
『2人きりだね』
不意にショウくんの言葉が浮かんできた。
2人でどこかに行くのは初めてじゃない。
けど、改めて映画とかに行くってなると。
まるで、デート・・・じゃない?
デート。
たった1つの単語が、頭から離れない。
違うよ。
ショウくんはそういうつもりじゃないって。
デートとか、そんなの私が勝手に思いついただけなんだから。
だから、お願いだから。
私の鼓動、静かになってよ。
こんなんじゃ、普通にできない。
いつもみたいに、ショウくんと接することが出来ないじゃん。
1人で悶々としていたけど、いつの間にか眠っていたらしい。
起きたときには、昨日ほど動揺してない。
よかった。
呑気に安心した私。
けど、安心した余裕から昨日のことを思い出すとまた恥ずかしくなった。
なんなの、もう。
治まっていた動悸が、また激しくなる。
「あ、遅れちゃう!」
なんとか約束の時間の10分前に待ち合わせ場所に着いた。
そこには、すでにショウくんの姿があった。
顔が熱い。
大丈夫だよ。
映画見るだけだもん。
うん。
「お、おはよう、ショウくん」
「おはよう」
大丈夫かな?
わたし、いつもどおりだよね?
・・・ショウくんは、私みたいに、デートだとか考えたりしないよね。
「行こうか」
「うん」
変わった様子がない。
いつもどおり。
ショウくんはショウくんのままで。
やっぱり、私の考えすぎだったみたいだ。
なんだ。
バカみたい。
「あんこ」
「なに?」
私も、普段のように戻れそう。
「手でもつないでみる?」
「え!?」
「そんなに拒否しなくても」
思わず後退りしてしまった私に、ショウくんは苦笑い。
え、いまのって冗談だよね?
それとも・・・。
ショウくんの意地悪そうな表情は、どちらとも判断がつかない。
私はショウくんに動揺されっぱなし。
「あんこ、早く」
「うんっ」
でも、それが私たちらしいのかも。
彼と私の関係
2010/03/11
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