「あんこ」
「あ、おはよう」

珍しいな。
いつもならショウくんは、私から挨拶しないと無言のまま席に着くのに。

「今日の放課後時間あるかい?」
「・・・また怪談関係?」
「ご明察」

うーん。
別に放課後はなにもないけど、怖いものは怖いのに。

「ほら、昨日の本屋で見つけたやつだよ」
「あ、あのときの?」

昨日一緒に帰っているときに見つけた、怪しげな書店。
いろんな本屋に行ったことのある私も見たことがないお店だった。

その店の店頭にあった不気味な装丁の本を気に入って、ショウくんはすぐに購入してた。
早く読みたいからと、いつもより早くに別れたんだけど・・・。

面白かったのかな?

「とても興味深い話だったよ」
「へぇ、気に入ったんだ」
「うん、だから放課後うちに来なよ」

うん。
と、私は期待を込めて頷いた。


「また非科学的な話で盛り上がってるのね」
「レイコ」
「そんなつまらないことに夢中になるより、勉強でもしたほうがマシなんじゃない?」

相変わらずの否定派。
むっとしてしまうのも仕方ないよ。

「レイコも来たいの?」
「誰が行きたいもんですか!」
「ふぅーん」

ショウくんの意地悪な笑みに、レイコはさっきの私みたいにムッと顔をしかめた。

「とにかく!2人で勝手にしたらいいじゃない」

それだけ言い残して、レイコは自分の席に戻っていった。

私はショウくんと顔を見合わせて、思わず笑ってしまった。




「はぁ〜相変わらずの本の量だね」
「ソファ、座って」
「うん」

私にも読める本なら、貸してもらおうかな。
さすがに外国語のは、話してもらわないと無理だけど。

「この中に、この町に似てる描写の話があるんだ」
「え、それって・・・」
「もしかしたらこの町をモデルにしてるのかも」

そ、そんな。
想像しちゃうじゃん。

「明日休みだし、行ってみようよ」
「えぇー・・・ほんとに?」
「当然」

ショウくんは結局、相変わらずなんだよね。

「仕方ないなぁ・・・」

この町にまつわる話となると、気になってきちゃうし。
確かめたくなるもん。

それをわかって、ショウくんは話始めるんだよね。


「あんこはそう言うと思った」

そうやって、いつもはあまり見せない笑顔を浮かべる。
だから、そういうことも手伝って、断れなくなっちゃってるんだよね。


そんな笑顔を向けてくれるのが嬉しくて。

まるで、それが私だけみたいに思えて。
それが、ただ嬉しくて。

自分でもバカみたいだけど、やっぱりショウくんのそういうところが好きだなぁ。
って実感しちゃう。

「じゃぁ、明日の10時に学校の正門でどう?」
「うん、大丈夫だよ」

これからも、こんな気持ちでいたいな。









いまは、友愛で









2010/01/20
[back]
    「#エロ」のBL小説を読む
    BL小説 BLove
    - ナノ -