黒バス高尾夢!構想なう!




「ん?」


見たことない男子がマネージャーしてる?しかも制服かよ。


「大坪さん、あれ誰ッスか?」


ちょうどシュート練習に入って近くいた大坪さんに聞いた。
俺の人差し指を辿ってその人を見ると、あぁ、と納得したように頷いていた。


「アイツは正式部員じゃないからな。お前らが入部したときは忙しくて顔出してなかったし」

「名前は?なんて言うんスか?」

「皇(スメラギ)汐音。宮地と同じクラスだ。人見知りで愛想悪いがいいやつだから安心しろ」


はーい。
間の抜けた返事を返して、バレないように皇さんを視界の端に入れたままシュートする。万人受けする顔だな。モデルなれそう。
…には少し低いか。俺と同じくらいか少し低いくらいだし。

あ、宮地さん。


「…お前、今日仕事押し付けられるって分かってて早く帰っただろ。俺がやらされたんだけど。ジャージに着替える暇なくなった」

「お前がノロノロ支度してるからだろ」


無表情で怒られるとそれはそれで怖いな…。
宮地さんは差し出されたタオルを受け取って乱暴に拭うと、スポーツドリンクを飲んで練習に戻っていく。
宮地さんって同級生にもひでぇな。

あ、さっき笑っ―――


「―――っだ!?」


顔面に激痛が走ってそのまま仰向けに倒れた。鼻が熱くなって押さえると、視界いっぱいに天井が広がっていたのが宮地さんの仏頂面に変わった。


「お前、なにボーッとしてんだよ」

「先パイ、痛いッス……」




「なにしてんの、バカ宮地」




宮地さんの反対側から声が聞こえてガサガサと物音が聞こえる。
顔を向ける前に皇さんが顔を覗き込んできた。


「大丈夫か?だいぶ出血してる」


ガーゼで簡単に血を拭って優しく上体を起こしてくれる。


「集中してなかった高尾が悪い」

「……分かった。俺も宮地が集中してなかったら、ボール顔面にめり込ませる」


なかなか止まらない鼻血を拭いながら宮地さんを見ずに言う。……つまり、俺を見ながら言っている訳で。
俺が怒られている訳じゃないけど、心臓がバクバク鳴ってる。


「立てるか?」

「あ、はい」
「過保護すぎだろ」


宮地さんのため息が聞こえたと思ったら一拍遅れてペチと音が鳴った。振り返って見ると、皇さんが宮地さんの額を叩いたらしい。


「宮地、ハウス」


一気に体育館が静かになった。


「バスケ大好きな宮地くんのハウスはコートだろ?――ハウス」


やっぱりこれも真顔で言ってんのか?だったら顔見えなくてよかった。笑いとまんねぇよ、絶対。


「……お前、いつ俺が犬になったんだよ」
「宮地がこの1年に構ってオーラ出してた」
「はぁ!?」
「ぶふっ」


思わず吹き出して宮地さんに睨まれた。ヤッベ。


「おい、高尾」
「なんつーか、不可抗力…ッス?」
「えーと、高尾?まだ出てる」


そう言った皇さんが対面している宮地さんを無視してガーゼを差し出した。


「宮地、ハウス」


皇さんがコートを指差すと、めちゃくちゃキレながら練習に戻っていった。









「まだ出てる?」
「………はい。でももう止まってきてます」


あのあとすぐに隅に連れて行かれてトイレから拝借したトイレットペーパーを使ってる。


「そう、良かった。俺、水道行くけどお前は?」
「あー…まだ遠慮しときます」


分かった。
そう短く返して残りが少ないボトルにスポーツドリンクを他のボトルに移したり、汚れたタオルを回収して乱雑に置かれたタオルを丁寧に畳んでいく。
マネージャーとあって手際良いな。これは女子のマネいらねぇわ。
皇さんは空いたボトルと汚れたタオルをそれぞれカゴに入れてはぁ、とため息を吐いた。


「………悪いな」

「…え、と…何がッスか?」


鼻血を止めるために仰いでいた顎の角度を少し緩めて皇さんを見るけど、カゴに目を落としたまま俺をみない。


「宮地、アイツ短気だから」

「皇さんが謝ることないじゃないッスか。それに宮地さんの愛と思えば痛くないッス」

「ならよかった」


ボケてみたけどスルーされた。
いや、この人は突っ込みじゃないなとは思ったけど。かなりスルースキルをお持ちのようで。


「行くか」


ボトルが入ったカゴとタオルが入ったカゴをもって水道に歩いていく皇さんに続く。


「皇さんはなんでマネなんかやってんッスか?」


水道に続く道にあったゴミ箱にティッシュを投げ入れる。血を吸ってるからそう空気抵抗を受けずに入った。


「なんとなく」

「なんとなくって…。よく続きますね。マネ大変そうだから俺続かなそう」


並んだ俺を横目で見た。


「…強いて言ったら、仲良くなった宮地から誘われたから」

「宮地さんと仲良いんスか?」

「三年連続同じクラス」

「うっわ、なんスかそれ。登校拒否なりそう」

「高尾は宮地をイジリすぎ」


血を洗い流してる隣で皇さんがボトルを洗う。
皇さんを見るけど、目が合うことはない。まぁ、大坪さんが人見知りとは言ってたから仕方ないけど。
現に、俺が話題を出さないと話が続かない。

多分、真ちゃんよりかは接しやすいだろうな。


それが第一印象。


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