ノラガミにハマってちょろっと書いてみる
彼は所謂不良だと言われている。ケンカに授業態度の悪さ、出席状況も良いとは言い難い。
「お前ら、寄って集ってなにやってんだよ。一人じゃなんもできねぇチキン共が」
偶然通り掛かった公園で己と同じ制服を着た少年が3人の他校生から恐喝にあっていた。見逃すにも罰が悪く、助けに入る。案の定相手が逆行してきたので沈めると、少年に注意を促して帰るのを確認して彼も帰路に着いた。
数日後――――。
「……おいおい…。これは洒落に、なんねぇって…」
20人、は下らないだろうか、大勢が少年を囲んでいる。見覚えのある顔が進み出た。
「よォ、久し振りィ。こないだのお礼、たーんとしようと思って」
ニヒッ、と気味の悪い笑みを溢して集団に紛れると、一斉に襲い掛かった。各々が持参した武器――鉄バットや釘バット――で殴る。殴る。
果敢にも応戦していた少年が地に臥すと、示し合わせたように全員が退き、先程の少年が歩み寄りしゃがんで髪を掴み上げた。
「夜トさん!」
着物を着た女性が前を歩いている、先ほど夜トと呼ばれた男――というには少し外見は若いが――のジャージを引っ張り注意を促した。夜トは面倒臭そうに歩いていたビルの上から見下ろす。
「うーわっ、さすがにあれはないだろ」
集団に囲まれ、その中心で地に臥している少年。そして、リーダーであろう少年がその少年の髪を掴み上げ、何か言っている。
「助けるか?いや、でも金になんねぇし…」
「何を言ってるんですか!助けに行きますよ!」
「あー、はいは―――」
面倒臭そうに頭を掻きむしっていた夜トは目を見張った。
先ほどまで倒れていた少年が囁いていた少年の顔面に裏拳を入れたのだ。立ち上がる。
「…大将倒しゃ…ちったぁ猿山のサルも、静かになんだろ?」
鼻血を拭って、ふらふらと頼りない足取りで悶絶している少年に馬乗りすると、対抗できないよう、両膝で相手の両肘を固定する。
「お礼………たっぷりしてやんよ」
そう言って顔面を中心的に殴り始めた。呆然としていた周りが我に帰り、バットで殴るも殴る手を止めない。
「なっ、なんだよ、コイツ!気持ち悪ぃ!!」
「夜トさん!」
「あぁ、しけてきやがる」
ぶつぶつと夜トは呟いて『伴器』と言うと、着物の女性はナイフに変形した。
「行くぞっ!」
ビルから飛び降り、少年たちへ駆けるとうっすらと形を作りつつあった妖を斬った。馬乗りになっていた少年は助太刀に来たのかと勘違いし、気を失っている少年の上から退いて夜トと背中合わせになるように立つ。
「なんかわかんねぇけど………サンキュー」
耳打ちされた言葉に夜トは自然と笑みが溢れた。
そして、夜トは妖を斬りながら少年と手を組んで集団を一掃したのだった。
「…悪いな、巻き込んで」
【伴器】は元に戻り【伴】の名を与えられた伴音は傷付いた少年をそっと近くのベンチに座らせた。少年は驚きはしたものの、ふっと笑って礼を言った。
「ったく、私刑って何したんだよ」
夜トの言葉に苛立ちで顔を歪めた。
「恨まれるほどのことはしてねぇよ」
「したからこうなってんだろ」
夜トに図星を突かれて少年は黙り込む。そんな少年の様子に伴音が夜トに制裁を加えた。
「ってぇ!何すんだよ!」
「あなたはいつもいつも言葉を選ばず、無遠慮に…」
「いや、こっちがすんません。自分のことなのに助けてもらったし…」
少年は慌てて伴音と夜トの間に入って仲裁した。夜トは少し逡巡すると、少年に名刺を渡す。
「デリバリーGODの夜トです☆また困ったことがあったら、呼んでね」
ウインクに横ピースをすると、少年は固まった。が、間を開けて笑いだす。
「GODって、神なのにデリバリーすんのかよ」
クク、と溢れる笑い。
「俺は櫻井海音。よろしく、神サマ?」
海音がアザだらけの顔で笑んだのにも関わらず、二人は不思議と不器量だとは思わなかった。
――――――――――――――
おまけ↓
翌晩
コト
「あ?」
目の前に置かれたビール。
とともに視界に入っている脚を辿って見上げると、パンパンと2拍する海音だった。
「お供え」
ニッと笑った海音に夜トは缶を開けて中身を煽った。
海音が五円を夜トに放る。
「ご利益がありますように」
「ご縁がありますように」
―――
海音くんはここではまだ
夜トが五円を貯めてること知らなかったらいいな
あ、これはおしまい。
早くどっちか連載片してほかの連載も書きたい…
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