邂逅

「……そうか。無駄足だったか…」

ある一室で椅子に腰を掛けている黒髪の青年が苦虫を潰したような顔をしてそう溢した。対面している綺麗な金髪を三つ編みにした少年と大きな鎧はやるせない雰囲気を隠しきれていない。再び黒髪の青年が口を開こうとしたとき――

「ロイ兄、また仕事溜め込んで何やってんの」

3人はノックもなしに部屋に入ってきた人物を見たが来訪者の顔は書類で隠れて見えない。しかし、ロイと呼ばれた青年は察したのか渋い顔を作った。

「………バーンズ」
「なんだよ――あ、」

呼ばれた人物は前が見えないため少し身体を書類の山からずらしてロイを視認した。と、同時に一緒にいる2人の姿も目に入る。
しまった。とバーンズと呼ばれた青年――リオン・バーンズはすぐにそう思った。
しかし、ロイを兄と慕うがその容姿はロイとは大きく異なる。黒目黒髪のロイだが、リオンは深い青色の髪に蒼く透き通る瞳である。

「た、大佐に弟いたのか…」
「でも髪と瞳の色が」
「異母兄弟か?」
「鋼の。それはどういう意味だ」
「盛り上がってるとこ悪いけど、俺たちは兄弟じゃないから」

ロイとリオンを交互に見比べていた2人の動きはリオンの言葉で止まった。

「ちょっと待てぇ!!兄とか呼んどいて兄弟じゃないってどーいうことだぁ!?」
「もしかして大佐……兄弟がいなくて寂しいからって――」
「そこの鎧、変なこと言うな。虫酸が走る…」

2人の発言にリオンは溜め息を吐いてロイを盗み見する。
ロイも目線に気付き、少し迷う素振りをして同様に溜め息を吐く。

「取り敢えずその書類を置いたらどうだ。それにお前も話があって来たんだろう」
「あ、書類持つの手伝います」

鎧がリオンに申し出たが首を振って机に近付く。

「俺の腕、丈夫だから」

机に書類を置いたとき、裾から見えた腕が窓から入る日に反射して鈍く光った。

「お前…機械鎧か?」

金髪の少年の問いにリオンは肩を竦める。書類をロイの机に置いて面倒臭そうにエドに言葉を返した。

「詮索はよくない。それにお前もだろ。――鋼の錬金術師」

金髪の少年が食って掛かろうするのを見て、2人の応酬が始まる前にロイが口を挟む。

「バーンズ、お前は何のために来たんだ。任務の報告を終わらせて仕事に戻れ」

ロイの言葉に渋々頷いて報告する。

「はい。大佐から頼まれた分に関しては大した情報は掴めませんでした。しかし以前逃走した盗賊団を発見、確保致しました。彼らが拠点を吐き次第、別動隊を向かわせ殲滅するよう指示しております」
「そうか。なら、任務のことについてはいいが、盗賊団についての報告書を頼む」
「はい」

リオンは礼をして退出する。と、その前にあぁと思い出したように2人に振り返った。

「エドワード・エルリック、アルフォンス・エルリック。口のきき方に気を付けた方がいい。――俺、中佐だから」



























「はぁぁぁああぁぁぁ!?」






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