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 返す言葉は、ただいま



臨也は私の手を取り、迷う事なくおばあちゃんとおじいちゃんの待つ家へと向かった。見知らぬ人物に驚く二人に事情を話し、最後に何か恩返しをしたい、と言う私に二人は、たまに顔を見せに来てくれたらそれが最高の恩返しだ、と言って私の頭を優しく撫でてくれた。本当に私は素敵な二人と出会えて、助けられて、幸せだと思った。

「元気でねぇ、慧里。またいつでも遊びにおいで。ミーもいい子にするんだよ」
"ミー"
「こんな可愛い子を悲しませるなよ、若僧。慧里はワシらの大事な子なんだからな」
「分かってるけど、若僧はやめてくれる?」
「おばあちゃん、おじいちゃん、本当にありがとうございました。また落ち着いたら、すぐ会いに来るから」
「うんうん、煮物作って待ってるからねぇ」
「……、はいっ」

これで最後ではないのに、涙が溢れそうになる。この二人の笑顔に、優しさに、私は支えられたんだ。


「さて、慧里がお世話になった事だし俺からも恩返ししないとねぇ。とは言っても、大金積んだっていらないって言われそうだし」
「はは、ワシらは今のままで十分幸せだからのぉ。いらん気遣いをするな、若僧よ」
「また若僧って言ったなクソじじい」
「臨也っ!」
「ということで、俺からの恩返しはこれから半年に一回、アンタらの子供や孫に会わせてあげる事。向こうから勝手に会いにくるからアンタらは待ってればいいよ」
「えっ、臨也、何したの……」
「ちょっと、変な目で見ないでよ慧里。ただソイツらの会社に休みを与えるようにおど…お願いしただけだよ。日本人は働きすぎだからねぇ。5連休もあれば十分だろ?」
「(脅したんだ)おばあちゃん達の子供に何かしてないならいいや」
「安心しなよ。意外と大手だったから被害がいかないように社員全員に休みを与えるようにしたから。もちろんアンタらの子供には別で車手配して、ココに来るようにしたしね」

臨也……本気出すと本当にすごいんだ。大手って事は何か他に洩れたらやばい秘密でも見つけて脅したんだろうなぁ。車まで手配って、そっちはどうしたんだろう。

「まあ。祐輔達が会いにきてくれるの?」
「若僧、よく分からんがすごい人間なんだなぁ。子供らに会うのは何年ぶりだろうなぁ」
「さ、慧里行くよ。ちなみに明日くる予定だからご馳走でも作っておくといいよ」

伝える事を伝えて、おばあちゃん達にくるっと背を向けて歩き出した臨也。

「あ、うんっ。……じゃあ、おばあちゃん、おじいちゃん、」
「行ってらっしゃい、慧里」
「笑顔でまたここに帰ってくるんだぞ」
「―――はいっ。行ってきます!!」

少し先を歩く臨也に急いで駆け寄ると、ギュッと手を握られた。


家に帰り真っ先に返す言葉は、ただいま


暖かなおうちが、二つになった。