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 彼の興味の対象



メイクも着替えも完了し、いざお出かけ。時間は11時を回っていて、朝食のような昼食のような少し微妙な時間だ。一番近くのファミレスに着き、案内された席に座る。メニューを見る私に、周りの人間を観察する臨也。

「臨也、何食べるの?」
「俺はドリンクバーでいいよ」
「え?それだけ?」
「慧里が寝てる間に自分で朝食作って食べたからね」
「…それだったら私の分も作ってくれたらよかったのに」
「慧里は起きるのが遅いからね」

確かに私はあまり早起きをしなくなった。働いてた頃は5時起きもあったりしたけど、今は臨也が仕事をさせてくれないから早起きしてもする事がないのだ。たまに臨也のお手伝いはするけど、それくらい。臨也ナシのお出かけはあまり許してくれないし。

「コーヒーでいい?」
「うん、よろしく」

店員さんに注文を済ませ、ドリンクバーへと向かう。臨也は楽しそうに人間観察をするけど、私は何が面白いのかさっぱりわからない。それどころか、私以外の"お気に入り"を臨也が見つけてしまうのではないかと少し怖いくらいだ。

「若い子が多いね。学生かなぁ?」
「日曜日だからね。しかもファミレスはドリンクバーだけでも何時間もいれるし。店からしたら迷惑だけど学生にはいいたまり場さ」

コーヒーを飲みながら周りを見回す臨也。私は料理が来るのを待ちつつ、時々臨也をチラッと見る。すると臨也が突然立ち上がった。

「…臨也?」
「慧里はここにいて」
「うん、」
「もしいつまでも戻らなかったら、コレで払っておいて」

お財布から出した一万円を臨也が私に預ける。わかった、と返事をすると臨也はそのままファミレスを出ていってしまった。そんなに長くかかるの?ドコ行くの?…そんな事聞けないし、聞いてもきっと臨也は私の欲しい答えはくれない。

「お待たせいたしました」
「…あ、どうも」

運ばれてきた食事を口に運ぶ。私は元より食べるのが遅いため、30分ほどかけてゆっくりと食べ終える。そのあともドリンクバーで時間を潰して、一応臨也を待ってみる。


「ありがとうございましたー」

出る前に時計を見るともう15時だった。──でも、臨也は戻って来なかった。

「臨也、どこ行ったんだろ…」

どうせ戻っても臨也はいない。フラフラと公園に立ち寄りベンチに座ってみる。ボーッと空を眺めていると、草むらの隅で何かが鳴いた。

「うん…?」

"ミー"

耳をすませてがさがさと辺りを探る。すると少し奥に段ボールを見つけた。

「わ、」

そっと覗くと、中にはまだ小さな子猫が一匹入っていた。


彼の興味の対象は私にはわからない


もしかして、捨て猫…?