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「おー、姫路野じゃねーか。」



そう言ってわたしの頭をポンと叩くのはあの問題児で有名のクラスの担任をしている、銀八先生だった。銀色の髪が夕日でキラキラと光る放課後。



「銀八先生...!」

「え、なになに。そんなに喜んで。」

「いやー、久しぶりに会ったので!」

「そういえば久しぶりだな。」



元気にしてるか?と聞かれわたしは大きく頷いた。頬がいつまでも緩みっぱなしで本当に困っちゃう。


わたしが銀八先生と出会ったのは屋上でひとりぼっちで座っていたとき。あの時はまだ入学したばかりで周りは知らない人だらけで友達もいない時だった。


そんな時に優しく話しかけてきてくれていつの間に良き相談相手になっていた。そう思っていたのも一体いつまでか。


先生は私たちを平等に見る。それが嬉しかったり悲しかったりする。


つまり先生はわたしを生徒としか見ていない。子供扱いをするのだ。



「ちゃんと勉強してっか?」

「してるよ!この前すごくいい点数とったんだ!」

「おー、よかったじゃねェか。」



よしよしと頭を撫でられるも嬉しいけど、なんか子供扱いされてる気がして少しもやもやする。



「先生、あっち向いてほいしようよ。」

「え?急に?」

「したくなったの!いくよ!」



ジャンケン、と言いかければ先生は慌てて片手を出す。


ホイ!と出したのはグーとパー。私の勝ち。


先生は戸惑いながらも首をポキポキと鳴らして準備をする。



「いくよー。」

「仕方ねーな。おっし、こい。銀さん負けないからね。」

「わたしも、負けないもん。」



一か八かの勝負。わたしは恥ずかしさを隠して言った。



「こっち向いてホイ!」

「ホイ!?......って、え?」



わたしはえ?え?と戸惑う先生を指さして、ニッコリと笑った。




「そろそろ、こっち向いてよね。先生?」




悪魔だ、そう先生は片眉を下げて笑った。







こっちむいてほい



「言っとくけど、子供扱いそろそろやめてよね。」

「......ったく、久しぶりに会ったら小悪魔になりやがったな。」




BGM:こっちむいてほい「初音ミク」


 
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