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ブー ブー


手に持っていた携帯が震える。悟ったかのようにわたしはそれを慣れた手つきで開いた。携帯を見たらメールが届いた、勿論相手はあの人からだった。


From : 銀時
R e : 桜
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こっちは綺麗な桜が咲いてる。
凛華のとこも咲いてる?

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たった二行、されど二行で口元がにやける。わたしは送信しようと本文を打った。


Dear : 凛華
R e : 桜
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わたしのところはまだ固い蕾。
けど、よく探したらひとつだけ
綺麗に咲いてたよ。

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ピロリン、と音をたてて写真つきのメールを送る。それが早く届きますようにと願いを込めて空高く掲げて力強く送信ボタンを押した。しばらくすると画面に「送信しました」という文字が出た。


ふぅ、と満足気に息をつき見上げた。空には固い蕾と茶色い枝が見えた。思わず頬が緩む。


メールをしていた彼は坂田銀時と言う。彼は会社の友達の紹介で知り合った人だ。合コンで出会いメアドを交換した。それだけだった。


その日から彼には会っていない。なんでも転勤が急に決まったらしい。遠くの方へ行ってしまったがこうしてメールをしているのも理由がある。


恋をしたからだ、多分。


相手は気づいてないだろうけど。わたしがそんな素振りを見せないからね。


メールをしていて楽しいし落ち込んだ時には励ましメールがくる。その時は本当に勇気を貰える。そんな仲の私たち。


ブー ブー


再び震える手元の携帯。開いてみると差出人は「銀時」と書いてあった。


From : 銀時
R e : 桜
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楽しみだな。

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ただ一言書いてあった。それだけでも嬉しくて嬉しくてニヤニヤしながら返事を打った。


そういえば誰かに「返事はすぐにしちゃダメ」って言われた気がするな。けどそんな駆け引きみたいなことできないや。躊躇していた指を送信ボタンの上に置き、押した。


「送信しました」


その表示を確認して携帯を閉じた。


何気ない会話。だけどその会話がわたしにとっては大切で楽しくて嬉しくて。苦手な絵文字もワクワクしながらメールに添えて送る。そんな日常。


「!」


またメールだ。昔よりか慣れた手つきで携帯を開く。


「う、嘘......っ!!!」


そこには跳び跳ねたい程の(実際は跳び跳ねないが)嬉しいことが書いてあった。


From : 銀時
R e : 桜
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今週そっちに帰れそう。

花見したいんだけど、
今週の日曜日空いてる?

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わたしは迷わず「空いてます」とメールを送信した。そして日曜日彼が帰ってくる嬉しさからか会える楽しみからか胸がきゅんと疼いた。







CHE.R.RY







「銀時さん、お久しぶり。」

「おう。......なんか久しぶりって感じしねーな。」

「ずっとメールしてたからね。」

「今度はメールだけじゃなくて電話もしてーな。電話番号教えてよ。」

「う、うん!(急展開だ!)」




BGM:YUI 「CHE.R.RY」


 
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