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わたしの学校には「やつ」がいる。


「やつ」とは世にも珍しい銀髪の持ち主のこと。彼は死んだような赤い瞳にひどいくるくる天パをしている。それになんだか他の人とは違うオーラを放っている。


そんなやつをわたしはいつも目で追っていた。


そして今日も......。


「......。」


「凛華。」


「......。」


「凛華ってば。」


「......ん?」


廊下を歩いていたやつから机を引っ付けてご飯を食べている目の前の友達に視線を変えた。彼女は頬杖をついて溜め息をついた。


「まーた見てるの?」


「な、なんのこと?」


「だからバレバレだって。」


「......だってさー、」


やつ、他の人とオーラが違うんだもん。


そしたら彼女はなにか言いたげな顔で溜め息ついた。その時に何も言わなかった彼女に感謝する。どうもありがとう。


「凛華ってわかりやすいよね。」


「なにが?」


「好きなんでしょ、坂田くんのこと。」


「......あんた神経腐ってんじゃないの?」


「あんたは脳味噌腐ってるよ。」


いただき、そう言って彼女はわたしの弁当箱の中からタコさんウインナーを奪い取った。こいつわたしの好物知ってて取ったな。取り返そうかと思ったがタコさんウインナーは既に彼女の口の中。諦めよう。


「なんでわたしが坂田くん好きなのよ。」


「だってずーっと見てるじゃん。」


「だからそれは、」


「それに坂田くん女子から結構人気あるしね。応援してるよ!」


「......あんたは人の話を聞けよ。」


「どうせオーラがどうたらこうたらとか言うんでしょ。そんなの言い訳にしか聞こえなーい。」


「はぁっ。」


あーあーと耳を塞ぐ彼女からわたしは窓の方へ視線を映した。これは窓側の席の特権である。


窓から見えるのは馬鹿騒ぎしながらサッカーをする男子。そこにはあの坂田くんというやつもいた。彼も嫌々ながらサッカーをしていた。


「あー、坂田くんじゃーん。」


「......うん。」


「相変わらず目立つ銀髪だねェ。」


「......うん。」


「あ、転けた。」


「うん。......あっ。」


お尻を擦りながら立ち上がる坂田くんを見つめていたら偶然彼と目が合った。わたしは反らすことができずそのまま見つめ合っていた。


そしたら彼は急に吹き出すように笑う。そしてひらひらと手を振っていた。


わたしじゃないかもしれないので隣の彼女を見るが、彼女は既に窓から目を離しクラスの子と楽しそうに話していた。


再び坂田くんを見る。すると坂田くんは眉間に皺を寄せながらわたしを指差す。そして口パクで「お・ま・え」と言った。


そしてまた手を振る坂田くん。わたしは控えめにひらひらと手を振った。


そしたらものすごく綺麗な笑顔でわたしを見てサッカーをする男子の中に入っていった。思わず見とれてしまった。


「どうしたの凛華?顔真っ赤だよ。」


「......なんでもない。」


赤い頬を隠すように頬杖をついて窓の方へと溜め息をついた。







眠れない夜は君のせい







「〜〜〜〜〜あああぁあ!!!眠れない!!!」

「うるさいよ凛華!!!何時だと思ってんの!!?」

「坂田くんの馬鹿ぁぁぁぁ!!!!」

「青春すんなら外でしろォォォ!!!!」




お題:108様より


 
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