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好きだった、大好きだった。


別に初恋ってわけじゃないけどすんごく慎重に彼に接して変なところとかないかな、って毎朝鏡で何回自分の顔をチェックしたことか。


彼とどう接していいかわかんなくて周りで信用できる友達に何度も何度も相談した。だってどうしていいかわかんないし彼の目の前に来たら頭が真っ白になってパニックになっちゃって。


そんな彼に恋したのはある一瞬の時だった。


「ったた。」


「ちょっと凛華、大丈夫?」


「んー、大丈夫......。」


今日は実は女の子の日。そんなことを男子もいるこの教室で堂々と言えないわたしはただただ必死に笑顔を作るだけだった。


「ごめーん、先行っててよ。」


「わかった!あまりにも辛いなら保健室行きなよ。」


「うん、ありがとー。」


数人の友達はキャッキャッ騒ぎながら教室を出ていった。わたしはお腹の痛さに耐えられず机に伏せていた。


「うーっ。」


「......大丈夫?」


さすさすと背中をさすられる。声からして友達ではない。ビックリして机から顔を上げた。


「うわっ!びっくりした!」


「や、山崎くん......。」


そこにいたのはクラスでも地味な子、山崎退くんがいた。


「教室、移動しないの?」


「いや、凛華ちゃんが教室でひとりになるでしょ?」


「え。」


「凛華ちゃんのお腹が治るまでここにいるよ。」


そのときの心配そうな声、さすってくれる優しい手、一瞬で恋に落ちた。


そこからはトントン拍子でことが進んだ。メアドを交換してメールをしていく度に好きな気持ちが溢れていった。そしてついに付き合うことができた。


「えへへっ。」


楽しかった、毎日が。彼と過ごす日々は本当に楽しくて幸せで毎日が充実していた。


しかしそんな日々も長くは続かなかった。


ある日のメールのこと。


『別れよう。』


その一言が突然きた。いきなりのことで目を開く。携帯を持っている手が震える、視界がぼやけてくる。


わかっていた、なんとなく。徐々に彼が冷たくなっていたのだ。それでもわたしは認めなくて見てみないフリをしていた。


「っふ、ぅ。」


どうして?そう聞いたら彼から残酷な言葉が返ってきた。


『友達として好きだったんだ。』


「そ、なの、てない、よっ!」


話そう、そうメールを送っても返ってくる言葉は「ごめん」。会おうとしてもお互い都合が合わなくてすれ違い。


「やだ......っ、やだ、ぁぁあ!!!!」


一方的に別れを告げられ去っていってしまった彼。周りの人はそんな彼を自分勝手で残酷な人だと罵る。


だけど、だけどね、


「......好き。」


まだ胸の奥の気持ちは溢れ出して、止まらない。







誰か、止めて。







この溢れた気持ちさえ取り除けば楽だろうに、

わたしは今日もそれを背負いながら生きる。

幸せってなんだろう。



 
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