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『今日はどんよりとした雲が空を覆うでしょう。洗濯物も乾きにくい天気となっております。』


そう淡々と伝える天気予報士を画面越しからぼー、と眺める。確かに今日はどんよりと曇っていた。今にも雨が降りそうだ。


「こういう日は家でゆっくりしねーとな。」


椅子から離れ冷蔵庫の中にあるいちごみるくを取り出そうとした。


「げ。」


そこは「無」に近いほど物がなくザッと目につくのは調味料ぐらいだった。今日の夕食は一体何を食べるつもりでいたのだろうか。


ということはこれは買い物に行くしか方法がない。神楽はまだよっちゃんかはっちゃんかと遊んで帰ってきていない。帰ってくる前に買い物しとかねーと駄々を捏ねられ更には家を半壊にされるかもしれない。


「だァァァァ面倒臭ーな。」


ジャラジャラと鬱陶しい音が鳴る財布を手に取り、ついでに傘を持つことを忘れずに玄関で靴をはいて出た。


空は相変わらずどんよりしていて見ているこっちもなんだか気分が落ち込むそんな感じだ。


「ったく、今日はついてねーな。」


パチンコ行かなくて正解だわ明日行こう明日。明日はなんかでかいものがとれそうな気がする。


目指す場所は歌舞伎町最大のスーパー、大江戸スーパー。そこにいけば大半あると言われるほど大きな店だ。


俺はそこで目的のものと後は、まあ、色々買い(細けーこと気にしたら明日やってけーよ)両手にレジ袋の状態でスーパーを出た。


「おいおい嘘だろ。」


さっきまでどんよりしていた雲はいつの間にか地上を濡らす雨雲に変化していて、空から滴を落とす。


よかった、傘持ってきて。


傘を広げてさあ帰ろう、とした時だった。


向かい側で座り込む一人の女。彼女は雲を心配そうに見つめるわけでもなくずっと下を向いてしゃがんでいた。


なんだか気になり俺はそいつに近づいた。


「雨宿りか?」


その声に反応して、彼女は顔をあげた。瞳は潤んでいて頬を濡らしていた。俺から見たら彼女は泣いていた。


「......え?」


「あ、ご、ごめんなさい!」


慌てて手で涙を拭う。


「ごめんなさいなんでもないんです。」


「なんでもなかったら泣かねーよ。」


ん、と傘を差し出す。彼女は小さく声をあげて俺を再び見上げた。俺は見下ろすように彼女と目が合う。


「傘、ねーんだろ?これ使えよ。」


「や、でもそしたらあなたが、」


「今日は濡れて帰りてーの。」


だから使え、そう言ったら彼女は渋々受けとる。俺は渡し終えたらその場を後にしようと背中を向けた。


「あ、あの!」


背中に掛け声がかかる。振り向くと彼女が傘を持ってこっちまで来ていた。


「心細いので、一緒に入りませんか?」


それが俺の今の奥さんとの出会いだったわけよ。







曇天







「ちょっと銀時何話してるの!?」

「なにって俺と凛華の出会いを語ってたんだよ。......しかも聞いて驚けコノヤロー。凛華はあの時雷が怖くて」

「ちょっとおおおお!!?いい加減にしなさい!!!」




BGM:DOES 「曇天」


 
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