わたしが勤めているところは田舎にある小さな保育所。短大を卒業してすぐこちらの方に来てくれたらとの近藤園長の誘いがあったので快く引き受けた。あの頃から約2年、やっと仕事にも慣れ始める頃のはずがわたしの場合そうではなかった。


「姉ちゃーん!遊ぼーぜ!」


「むっ、何を言うか銀時!姉さんとは俺が遊ぶんだ!」


「......んなやつらほっといて俺と遊べよ。」


「嫌だアルぅぅぅぅ!!!!お姉ちゃんはわたしのヨ!!!!」


「うるさい餓鬼だなァ。ねえ、こんな奴らよりか俺の方がよくない?」


朝、園児たちが集まるとき必ずわたしのところに集まってきてくれる。わたしがここに勤める前までは女の先生がおらずむさ苦しい男共が遊び相手となっていたらしい。だからか女の先生が来た瞬間目を輝かせ、今では嬉しいくらいの取り合いになった。


上から銀ちゃん、ヅラ、晋ちゃん、神楽、神威くん。あとはモジャ(坂本くん)もいるはずだが朝が苦手な彼は今日もどうやら遅刻らしい。


「ほ、ほら皆喧嘩しないで一緒に、


「あぁ!?テメー俺の姉ちゃん取る気か!?」


「貴様のではない俺のだ!」


「俺のに決まってんだろ餓鬼。」


「「なんだと高杉!!?」」


「コラ!銀ちゃんもヅラも晋ちゃんも朝から喧嘩しないの!」


「ヅラじゃない桂だ!」


「カツラかァ?」


「お前は黙ってろ高杉!」


「わああああん神威が苛めてきたァァァ!!!!」


「お前が先に俺の脛かじったんだろ。


「あああああ!!!!そこも喧嘩しなァァァい!!!!


ぎゃあぎゃあ わぁわぁ


これが毎朝の出来事。この子らは一体どこからその体力が来ているのか彼らはとにかく煩い騒がしい活発な子ばかり。2年経った今でも全然慣れない。


わたしは一番歳が下の神楽を抱っこし慰める。


「いいなァいいなァ姉ちゃん俺もー!」


「わっ、ちょ!」


よじよじと登ってくる園児たち。ちょっとわたしは木登りするためのものじゃありません!


「わわわっ!」


体重があらゆる方向から掛けられているため体のバランスが保てなくなってしまった。落ちてしまったらこの 子 達を下敷きにしてしまう。


そう思いながらも傾いた体を保つことができずバランスを崩してしまった。


ボスンッ


「わお、何か落ちてきた。」


「お、沖田さん!」


そこにはここに勤めている保育士のひとり、沖田総悟がいた。歳は同い年だが勤務年数が違うため実践的には彼の方が上だ。


「げ、来たドS!」


「むむむっ!」


銀ちゃん、ヅラが何故か玩具の剣を持って戦闘態勢に入る。


「おいてめーら。姉ちゃんのこと好きすぎて押し倒したいのもわかるが少しは我慢しろィ。」


「ちょっ!沖田さん子供になんていうことを!」


「これぐらいのうちに知っておくのも大事なんでィ。」


得意気な顔をしてウィンクをわたしに投げ飛ばしたら沖田さんは子供たちをさっさと部屋の真ん中に集めた。


さすが沖田さん、子供扱い慣れてるなァ。それに比べてわたしはまだまだだな。


神楽ちゃんを抱っこしたままそう思った。


「ほら餓鬼共、お歌の時間ですぜィ。」


そう言って沖田さんはピアノの前に座り鍵盤に手を置く。わたしはひざの上に神楽ちゃんを乗せ揺りかごをしながら教室の後ろでそれを眺めていた。


「じゃあこの曲を当てなせェ。」


「......ん?」


あれ?お歌の時間って歌を当てるクイズだっけ?


ーーー♪♪


「......あー!わかった!ベトベートだ!」


「誰だそれの汚ならしい名前は!これはエリザベスが作ったやつだ!」


「馬鹿め、エリザベートだ。」


「こんなの当てられなくても喧嘩さえ強ければ生きてけるよ。」


「待て待て待て待て!沖田さんどうして洋楽をチョイスしたの!?てか正解はベートーベンだから!段々かけ離れてるから!」


「餓鬼の頃か洋楽を聞いとけば立派な音楽家になれ......ればいいのになァ。」


「それただの願望だから!!」


「うわぁぁぁぁんマミィィィ!!!!」


「ああぁあぁぁ!!!!起こしてごめんね神楽ちゃん!!!!」


ここの保育所ではこんな忙しく騒がしく楽しいのが日常茶飯事です。






銀魂保育園!







「アッハッハッハッ!おはよーぜよ!」

「わああああんお姉ちゃぁぁぁん!!!!」

「よしよーし!大丈夫だよわたしここだよ!」

「じゃあ次は土方呪殺歌を歌うぞォ。お前らちゃんと気持ち込めて歌えよ。」

「「おう!」」

「......アッハッハッハッ。ぐすっ。」




ーーーーーあとがきーーーーー

なにこれわやわやだけど楽しい!
坂田、桂、高杉、坂本、神威、神楽 → 園児
主、沖田、土方、近藤 → 保育士
の設定です。今更ですねはい。

ありがとうございました!


 
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