突然だが、わたしには顔が似ているクラスメイトがいる。


他のクラスメイト曰くもう似ているのレベルではないらしい。双子ではないのかと疑われ程だ。


そんなわたしはそいつのことが大嫌い。この世界でこの宇宙で一番嫌いなやつ。


彼の名はこの学校のサディスティックの皇子、沖田総悟という。


沖田総悟は顔が可愛い系で黙っていればいいものを、口を開けばそれはもう黒い塊しか出てこないような最低な奴。常識外れの無茶苦茶な奴、それがあいつだ。


一方私はそんな奴に髪型まで似ているからそりゃもう女子からの人気が半端無くて。いや、別に嬉しいことなんだがこれが原因で恋愛できない面もある。


以前好きな先輩に勇気を振り絞り告白をしたことがある。全神経を使って「好きです」の気持ちを伝えた。すると彼はこう答えた。


「俺より女子にモテる女の子はちょっと...。」


確かにそうだ。見事に撃沈したわたしは翌日ドッペルゲンガーの沖田がその現場を目撃したらしく、教室で萎えているわたしの耳元でそっと呟いた。


「男より女子にモテるなんて。」


お前のせいだよ全部お前のせいだよコノヤロー。怒り狂うたわたしは沖田を殺ろうと襲い掛かる。この光景を見て周りにいた人たちは「仲のいい双子」だと思うようになった。本当いい迷惑。


そして今日も廊下を歩く度きゃあきゃあ言われる。ただ飲み物を買いに行っているだけなのに。


イライラしながら廊下を通り過ぎ自動販売機にたどりつく。お金を入れてどれにしようか迷っていると、


「男は黙ってレモンティー。」


ピッ ガコン


後ろから声がしたと思い振り向いたらレモンティーのボタンを押され、取り出し口にはレモンティーがこんにちは。声の主?そんなのひとりしかいない。


「......あんた朝から喧嘩売ってんの?沖田。」


「いやーちょうど飲みたかったんでさァ。」


温かいレモンティーを手に取り、開けてそして飲む。いやいや人の話聞けよ。


「てかそれわたしのォォォォ!!返せ120円!!」


「たかが120円ケチケチすんなィ。」


チッと舌打ちをしてゴクゴクと飲んでいく。ああ、わたしの120円があ。


沖田はわたしの嫌がる顔(または反応)を見て楽しんでいるのか、こうしてちょくちょくと構ってくる。うざったいほかなし。


「ああもう!!今月超ピンチなのに!!」


「あ、そーいえば。」


本当に話聞かないよなこいつ。あんたの耳は何のためについているんですか?


「この前、コレ手に入ったんでィ。」


そう言ってちらちら見せるのはわたしの大好きなバンドのチケット。ちなみに沖田も好きだ。やはり双子なのか?


「う、うそ!!ちょ、見せて!!」


「やーだ。」


取ろうとするがやはり双子でも身長差はある。あともう少しのところで届かない。


「今度友達と行くんでィ。」


「いいないいなああああああ!!」


なに自慢しに来たの。腹立つほど憎いけど羨ましい。


「けど、」


「?」


「友達が行けなくなってな。」


あー、と言い頭を掻く沖田。なにコイツ、こんなに男らしかったっけ?


「チケット、一枚余ってる。」


そんな赤い顔で言う。なんで赤くなってんの?で、わたしはなんでこんなにもドキドキしちゃっているの?


「もしよかったら、」


チケットを真っ赤な双子の傍らがわたしの目の前に差し出す。


「一緒に、行かね?」


そんな顔されて言われたら、


「......う、ん。」


としか言えないよ、ばーか。







双子恋の行方







「な、なんで顔赤いのよ!」

「そっちこそ顔赤いだろィ。」

「ししし仕方ないから行ってあげる!」

「......仕方ねーから連れてってやるよ。」



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