今日は日本中のあちこちが騒いでいるクリスマス、という日。


子供はサンタさん、大人は恋人と過ごすなどとどこも楽しい日になりそうだ。


そんな聖なる日にわたしはひとり家で顔を歪ませながら携帯を片手に寝転んでいた。


こんな残念なわたしでも彼氏はいる。その人は仕事人間でこの前「彼女と仕事、どっちが大切?」と聞いたら即答で「仕事」と答えた馬鹿野郎。あまりの即答さで涙も出なかった。


ここ最近新しい後輩が入ってきたらしい。なんでもそいつは自分に仕事を押し付けてくる無責任野郎だとぼやいていた。


そのせいか大切な大切な仕事に日々追われる毎日でここ数日まともに合ってない。


先日電話をしたが「仕事あるから」といって切られた。ちなみに通話時間は50秒。どんだけ!とひとり淋しく携帯につっこんだ。


ま、仕事だから仕方ないかと最近までは思っていたがさすがに我慢の限界。


どんなにデートの時に強がっているわたしだって本当は寂しい。あー、寂しい。


しかもこの聖なる日にだよ?クリスマスの日にだよ?彼氏持ちのわたしがなんでひとり過ごさなきゃいけないんだよ。別にクリスマスだからってわけではなくってね。


ピッ、と虚しい音と共につくテレビ。画面の向こうにはイルミネーションを見に来たのだろうか、なんとも可愛らしいカップルが映っていた。彼らは楽しそうにインタビューを受けていた。


そう、今日はクリスマス。だからあちこちカップルだらけ。そんなの見るとさ余計会いたくなるに決まってんじゃん。


「あー、会いたいなー。」


リモコンの電源を切り顔をクッションに押し当てる。少し息がしづらい。


今日くらいはさ、別に会いに来てくれたってよくない?てかその後輩も後輩で腹が立つし。


じっと手に持っていた携帯を見つめる。そしてある携帯番号を押し携帯を耳に当てる。


プルルルルっ


『只今、留守となっております。ピーっという発信音の後にご用件をお話下さい。』


ピーッと機械音が鳴ると同時にわたしの口は開く。


「......ばーか。」


ブチッと消し、もう用の済んだ携帯をソファに投げる。


ふっと漏れる自分の声が寂しく部屋に響いた。妙に恥ずかしくて声を抑えようとするが漏れる声は更に響き渡る。


......こんなに弱い女じゃなかったのにな、自分。


涙の跡がついたクッションをしばらく見つめ、気晴らしにお風呂に入ろうと体を起こした。


 
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