※ 名前変換ありません
※ 沖田総悟おちです


「trick or treatでさァ。」


カボチャの帽子を被り、片手に大きな箱(既にお菓子がたくさん)を持った総悟が言った。


「どうしたの、急に。」


「急じゃないでさァ。この日のことは前々からひとりで計画してやした。」


「私にしたら急だっつーの。」


はあ、と溜め息をつく私。


「てかこの年になってもハロウィンか。」


「凛華、違いまさァ。Halloweenでィ。」


「発音の良さの違いね。」


はいはい、わかってますよ。どうせ私は英語は苦手ですよ。


総悟は未だに目をキラキラさせながら語り続けた。


「それにこのHalloweenの決め手はなんといっても『trick or treat』でィ。」


「それがどーしたの?」


「trick、どういう意味かわかりやすか?」


「ちょ、そこまでバカにしないでよわかるよ。悪戯、でしょう?」


「その通りでィ。」


ニヤリ、と黒い笑みが浮かぶ。一瞬ゾッとした。気のせいではないのは確かだ。


「悪戯、俺の得意分野でィ。」


「うわ。」


「しかも、お菓子貰えなかったら悪戯してもいいというこの決まり。」


「いや、別に決まりじゃ....。」


「最高でさァ!」


「......。」


あーあー、なんか嫌な火ついたなこいつ。ったく誰だよハロウィンを総悟に教えたの。近藤さんあたり?


「けど総悟、ハロウィンは子供がする行事じゃん。」


「俺は永遠の子供でさァ。」


「ピー○ーパンか。」


「そう、俺ァはヒ○ーターパン。」


「あれ?それ伏せ字の意味なくない?」


「ネバーランドへ子供を引きずりこむんでィ。」


待て!なんか怖いから!子供が可哀想だからァァ!!


「ま、とにかく俺は子供に夢を与える素晴らしいやつなんでさァ。」


「恐怖という名の夢を与えるピー○ーパンだね。」


あ、と総悟は何か思い付きそして片手を私の前に差し出した。


「trick or treat。」


「結局それ?」


「悪戯かお菓子か、早く選べィ。」


ちぇ、と渋々お菓子がないかポケットを探るが見つかりそうにない。


「あ、あれー?」


「ちなみに悪戯を選択したH方は、」


なんか変態みたいじゃん、それ。


「マヨネーズの中身を全てからしに変えてきやした。」


「菓子、菓子....。」


「あとY崎のミントンラケットを目の前でへし折ってやったり、」


「菓子、菓子、菓子。」


「原田には嫌味たっぷり込めてカツラをプレゼント。」


「菓子菓子菓子菓子。」


「更に近藤さんには、」


「菓子ィィィィ!!」


ていうか悪戯ひど!悪戯の限度越えてない!?一生恨まれそうな悪戯すんなよ!


「悪戯?」


「い、いや!部屋に行ったらカントリー○ームがある!!」


「手元にはないんでィ?」


「部屋にあるんで!パンプキン味!」


菓子を取りに部屋に行こうと体の向きを変えた、時だった。


がしっ


力強く腕を掴まれる。


「out。」


「え、いやいや。そんな発音よく言っても、」


「さて、凛華にはどんな悪戯しやしょう。」


「聞いてる?おーい。ニヤニヤしながら考え事やめてー。」


「.....!」


うわ、アイツ今なんか閃いた顔したぞ。


やばいやばい。逃げたい逃げたいよ逃げたいけど、悪戯が倍になるのも嫌。


「凛華。」


未だに掴まれている腕に力が籠る。


「痛っ。ちょ、総、」


一瞬だった。


視界いっぱいに総悟がいて、私の唇は焼けるくらい熱くて、恥ずかしくて。


ちゅっ


音と共に離れるそれ。


離れたあと私たちは顔を見合わせる。すると総悟がいつも以上の意地悪な笑みで言う。


「悪戯、足りやせんか?」


なに、その言葉。まるで私が欲求不満で、まだ求めているみたいじゃない。


「.....足りない。」







Trick Or Treat







私はあなた以上の欲張り。

だから悪戯も求めるし、菓子も求めるの。

ねえ、全部ちょうだい?



 
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