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「ありがとうございましたー!!CMの後はあの人気バンドです!」



3、2、1とスタッフの人が指でカウントダウンをする。


それを見てアーティスト達がドッと肩の力を抜きイラックスモードに入った。わいわいと騒がしくなる周り。


その間もじっと別ステージで片付けをしているSSGを見ていた。4人共ふざけていて片付けなどになっていないが。



「......あああぁ!!」



ぐしゃぐしゃと頭を抱え唸る。そしてあのステージが映像化され甦る。


あの余裕の笑みといい才能といい、本当に持っているやつができることだ。



「......。」



次はわたし達の番。相手がものすごく強いからって初めから逃げることはしたくない。


やるからには全力でやる。あ、これモットーです。


でもどうやって勝ちにいこうか。あの透き通った綺麗な声よりもさらに上のランクにいくためには。



「莉乃。」



その言葉に我に返る。呼んだのは銀時だ。



「ステージ移動すっぞ。」



ぐいっと腕を乱暴に引っ張られ立ち上がる。ステージには既に神楽や新八がいた。どうやらチューニングをしているらしい。



「え?トークとかはないの?」

「あるわけねーだろ。おおとりは大体トークとかそんなんねェの。」

「へ、へぇー。」

「んなことよりもよー、」



つん、と人差し指でつつかれた眉間。わたしは頭をハテナで埋め尽くされた。



「難しい顔すんなよ。お前はお前のやり方でやりたいよーにすればいいの。」

「わたしがやりたい、やり方?」

「そ。音楽は競争で勝つもんじゃねー。楽しさで勝つもんだ。」



楽しさで、か。



「楽しんだ者勝ちってか?」



にやっと笑う銀時。


そっか。さっきまでどうやって総悟に勝とうかとかで悩んでたけど、それは全部才能とかで勝とうとしていた。そんなんじゃいつまで経っても勝てっこない。


本当の勝者は、どれだけそこで楽しんだかだ。



「......そ、だね。そうだよ!楽しもうこの瞬間を!」

「その意気だ。」



ポンポンと頭を叩かれ銀時はふたりをこちらへ呼んだ。



「何アルかー。」

「打ち合わせですか?」

「違ェよ。ほら。」



そう言って肩を組む銀時。それでわかったのか二人は肩を組み始めた。みんな組んだらほら、円陣のできあがり。



「いつもしてるの?」

「今日は特別。莉乃が初めてで緊張するかと思ってな。」

「なっ......!」

「そうアルな。緊張ほぐさないとネ。」

「なんか僕達らしいですね。」

「これが俺らのやり方だ。TINKER'S、楽しむぞォォォォ!!!

「「「おぉ!!!!」」」



声を地面に叩きつけわたし達は定位置へと着いた。


息を吸って吐く、吸って吐く。未だに心臓はバクバクと鳴り響いていた。


顔を上げると人、人人人人。隙間という隙間が人で埋められていた。それらの目線は全てステージにいるわたし達に向けられていた。


しかもさすがTINKER'S。お客さんの量が他とは比べ物にならない。


......げっ。総悟と目があった。最近合うなー。


ん?なになに?口パクでなにか言ってる。



「せ」「い」「ぜ」「い」「が」「ん」「ば」「れ」



......って。



「なにあいつゥゥゥゥ!?」

「莉乃さんどうしたんですかァ!?」



意味わかんない本当に腹立つ!


燃えた、今最高に燃えてきた。あんな奴なんかにまけてたまるか!!



「......いい表情してんな。」

「そうアルな。」






ーーーーーーーーーーー......





「総悟、なにニヤけてんだ。」

「別になんでもないですぜ。」



そう言いながらもニヤ顔をやめない。



「......いいライバルが見つかったな。」

「気色悪いのは顔だけにしてくだせェ。」

「どういうことだコラァァァ!!」

「ふ、副長!本番もうすぐですよ!?」

「誰が副長だァァァァ!?」

「あんただよ、え、ちょ、あ、ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」




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