( 1/2 ) 「ありがとうございましたー!!CMの後はあの人気バンドです!」 3、2、1とスタッフの人が指でカウントダウンをする。 それを見てアーティスト達がドッと肩の力を抜きイラックスモードに入った。わいわいと騒がしくなる周り。 その間もじっと別ステージで片付けをしているSSGを見ていた。4人共ふざけていて片付けなどになっていないが。 「......あああぁ!!」 ぐしゃぐしゃと頭を抱え唸る。そしてあのステージが映像化され甦る。 あの余裕の笑みといい才能といい、本当に持っているやつができることだ。 「......。」 次はわたし達の番。相手がものすごく強いからって初めから逃げることはしたくない。 やるからには全力でやる。あ、これモットーです。 でもどうやって勝ちにいこうか。あの透き通った綺麗な声よりもさらに上のランクにいくためには。 「莉乃。」 その言葉に我に返る。呼んだのは銀時だ。 「ステージ移動すっぞ。」 ぐいっと腕を乱暴に引っ張られ立ち上がる。ステージには既に神楽や新八がいた。どうやらチューニングをしているらしい。 「え?トークとかはないの?」 「あるわけねーだろ。おおとりは大体トークとかそんなんねェの。」 「へ、へぇー。」 「んなことよりもよー、」 つん、と人差し指でつつかれた眉間。わたしは頭をハテナで埋め尽くされた。 「難しい顔すんなよ。お前はお前のやり方でやりたいよーにすればいいの。」 「わたしがやりたい、やり方?」 「そ。音楽は競争で勝つもんじゃねー。楽しさで勝つもんだ。」 楽しさで、か。 「楽しんだ者勝ちってか?」 にやっと笑う銀時。 そっか。さっきまでどうやって総悟に勝とうかとかで悩んでたけど、それは全部才能とかで勝とうとしていた。そんなんじゃいつまで経っても勝てっこない。 本当の勝者は、どれだけそこで楽しんだかだ。 「......そ、だね。そうだよ!楽しもうこの瞬間を!」 「その意気だ。」 ポンポンと頭を叩かれ銀時はふたりをこちらへ呼んだ。 「何アルかー。」 「打ち合わせですか?」 「違ェよ。ほら。」 そう言って肩を組む銀時。それでわかったのか二人は肩を組み始めた。みんな組んだらほら、円陣のできあがり。 「いつもしてるの?」 「今日は特別。莉乃が初めてで緊張するかと思ってな。」 「なっ......!」 「そうアルな。緊張ほぐさないとネ。」 「なんか僕達らしいですね。」 「これが俺らのやり方だ。TINKER'S、楽しむぞォォォォ!!!」 「「「おぉ!!!!」」」 声を地面に叩きつけわたし達は定位置へと着いた。 息を吸って吐く、吸って吐く。未だに心臓はバクバクと鳴り響いていた。 顔を上げると人、人人人人。隙間という隙間が人で埋められていた。それらの目線は全てステージにいるわたし達に向けられていた。 しかもさすがTINKER'S。お客さんの量が他とは比べ物にならない。 ......げっ。総悟と目があった。最近合うなー。 ん?なになに?口パクでなにか言ってる。 「せ」「い」「ぜ」「い」「が」「ん」「ば」「れ」 ......って。 「なにあいつゥゥゥゥ!?」 「莉乃さんどうしたんですかァ!?」 意味わかんない本当に腹立つ! 燃えた、今最高に燃えてきた。あんな奴なんかにまけてたまるか!! 「......いい表情してんな。」 「そうアルな。」 ーーーーーーーーーーー...... 「総悟、なにニヤけてんだ。」 「別になんでもないですぜ。」 そう言いながらもニヤ顔をやめない。 「......いいライバルが見つかったな。」 「気色悪いのは顔だけにしてくだせェ。」 「どういうことだコラァァァ!!」 「ふ、副長!本番もうすぐですよ!?」 「誰が副長だァァァァ!?」 「あんただよ、え、ちょ、あ、ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」 |