( 1/2 ) 「こ、ここで歌えるの?」 ここ、レコーディング室はよくテレビなんかで見る感じ。設備もきちんと整っている。さすがあのTINKER'Sだ。 「そうヨ。莉乃とここで歌えるヨロシ。」 花。この笑顔を例えるなら花、という表情を生でいただきましたあ。ごちそうさんです! 「ところで銀さん。」 「あ?」 「曲はなにを歌うんですか?」 「それなら銀ちゃん!!私らの最新曲を歌わせるネ!!」 「マイ・ソウルをか?」 『マイ・ソウル』って確かオリコンランキング堂々の1位だったよね。しかも今度放送されるドラマの主題歌らしいじゃん。 実はTINKER'Sが曲を出すとちょっとした社会現象が起こる。 例えばオリコンは必ず1位をとる。そして何かの主題歌となる。 そう、TINKER'Sは気持ち悪いぐらい才能バンドなのである。 「え、でもマイ・ソウルの歌詞曖昧だよ?」 「いんだよ。そこら辺は鼻歌で。」 「適当だな、おい。」 「あれ?急に口調が」 「……これが素ですよ。」 ギンは返事が曖昧になりながらレコーディング室の奥へ入っていく。 「ほれ。お前ェもだよ。」 「あ、うん。」 手招きされ入る。 「う、わ。」 入った瞬間の、なんだろうこの感じ。押し付けられるというか息苦しい感じ。妙に圧迫感がある。 |