ガチャッ!!
勢いよく開いた扉に、一味は全員、皿に手を伸ばした状態で硬直した。
外から現れたのは、フードを被った人影。
「誰だおめぇ。」
ルフィはそのままの状態で問いかける。
不審な者ではあるが、敵意をまったく感じないが故、一味は戦闘態勢には入っていなかった。
フードの下で、微かに口元を綻ばせた彼女は、ゆっくりとフードをとる。
「!!! ビビ!!」
フードの下から現れた人物に、ナミが口を覆って声を上げる。
ルフィは口に肉をくわえたまま、硬直。
ウソップとチョッパーは顎が外れるのではないかというくらい、大きく口を開け、
サンジは手に持っていたトングを机の上に落とし、
ロビンは、無表情のまま硬直。
フランキーとブルックは首をかしげ、
ゾロは、眼を見開いて、彼女を凝視した。
ビビは、無邪気な笑顔を見せながら、
「・・・みんな、久しぶり。」
第一声を放った。
「ルフィ!! 何で、そんな大事なこと言わなかったのよ!!」
「わりぃわりぃ。 すっかり忘れてた。」
船内で説教をするナミと、説教をされるルフィ。
どうやらルフィは、ペルーと会ったこと、そしてビビがこの国にいる事を、他のクルーに伝えるのを忘れていたようだ。
それは随分クルーたちの心臓に悪いことをしたなぁと、ビビも少し申し訳なくなる。
サンジに言われるがまま、差し出された椅子に腰掛け、一味全体をぐるっと見渡す。
容姿は変われど、人数が増えど、この一味の暖かさはずっと変わらないのだなぁと、しみじみと感じ、目頭がツーンとした。
「まったくもう。 ビビ!!」
ルフィを一頻り怒ったナミは、溜め息をつくとビビに向き直った。
そして、勢いよく、ビビに抱きついた。
「な、ナミさん!?」
「ビビ。 会いたかったわ。」
その一言だけで、ビビの中に押し寄せてくる思いは倍以上に膨らみ、胸が苦しくなる。
「私も・・・みんなに会いたかった。」
ビビはナミの背中に手を回し、力を込めた。
「えぇ!? 王女様なんですか!?」
「王女が海賊船に乗ってたとはなぁ・・・」
ビビのことを知らないフランキーとブルックに、一通りの経緯を話すと、2人とも多いに驚いていた。
「おう! ビビは今でも俺たちの仲間だからな。」
ルフィがニシシと笑い出す。
「じゃあ、自己紹介でもしとくか。 俺はフランキーだ。よろしく。」
「私、ブルックと申します。」
フランキーとブルックが初対面であるビビに名乗る。
「ネフェルタリ・ビビです。 よろしくお願いします。」
ビビは一度椅子から立ち上がり、ゆっくり腰を折る。
「よろしくお願いいたします。 ところでビビさん・・・。」
ブルックが、ビビの前まで移動し、杖をつく。
「パンツ、見せても・・・。」
「やめんか!!」
ブルックが言い終わる前に、ナミがブルックを天候棒で殴り飛ばした。
あまりの早業に、ビビは眼を見開いたまま静止する。
「あいっかわらずね、あんた!!」
腰に手をやり、仁王立ちをするナミ。
「あは、ナミさん。 相変わらず手厳しい。」
ブルックは壁にもたれ掛かったまま、弱々しい声を出す。
顔に表れないので分かりにくいが、どうやらそうとうな効力らしい。
苦笑いを顔に貼り付けたビビは、ただただそのやり取りを見ていた。