いつもの道を、肩を並べて歩く2人

あらかじめ言っておく 

この2人は付き合っているわけではない 

単に幼馴染というだけなのだ

だが・・・

「ゾロったら、髪の毛はねてるわよ」

「うるせぇ 時間が無かったんだよ」

「寝坊するから悪いんじゃない」

「うるせぇな 眠ぃもんは仕方ねぇだろ!!」

「あ!!ちょっと!! 髪の毛ぐちゃぐちゃにしないでよ!!」

・・・周りから見ると、どう考えても恋人にしか見えなかった


「あ!! ロロノア先輩だ!!」

小さな声がナミの耳に入る

「本当だ!! うわぁ、今日もカッコいいなぁ」

「あくびしてるよ? 眠たいのかな? かわいい〜」

「来週、剣道の試合があるらしいよ?」

「きゃー!! 応援しに行こうよ!!」

ナミは溜め息をついた


ゾロは勉強は出来ないくせに、すごくモテる

そりゃあ、もう恐ろしいくらい

目つきこそ悪いが、もともと顔はカッコいいほうであるし

それに足して、剣道の腕は全国レベル

毎度毎度、彼の大会では女子の黄色い声援が絶えない

ナミも何度か、ゾロが告白される現場に遭遇している

靴箱でゾロを待っているときに、呼び止められて連れていかれたり

昼休憩に、女子がゾロを呼びに来たり

更衣室の裏で告白されているのを聞いたり

一番印象に残っているのは、朝のこの通学時間に告白しに来たときのこと

『あの!! ゾロくん!! 前から好きだったんで、付き合ってください!!』

隣のクラスの女の子

ちょっと、待って 私が見えてないのか?

『は?』

『返事はいつでもいいんで!!』

そういい残して、女の子は一目散に逃げていった

『・・・どうすんの?ゾロ』

『・・・んなもん、断るに決まってるだろ 興味ねぇし』

そういうゾロの言葉に、ホッとしたことを覚えている


学校が近付くに連れて、人の視線を多く感じるようになった

いつものことだが・・・

「あの女の人、何?」

「ゾロ君の幼馴染って噂だよ」

「えぇ!? 一緒に来てるの!?」

もう聞きなれたセリフに、ナミは動じない

「でも・・・」

妙に耳に入った、女子の声


「お似合いだよね」


その言葉を聞いたとき、ナミの口元には笑みが浮かんだ


「おい見ろよ ナミちゃんだ」

「おお!! 今日も可愛いな〜」

「あのスタイル、たまんないなぁ〜」

「来週の全校集会、確か挨拶ナミちゃんだぜ?」

「マジかよ!! 絶対学校行かねーと!!」

お前らは、なんつー目でこいつを見てるんだよ

ゾロは小さく溜め息をついた


ナミは、その美貌とスタイル故、どこへ行ってもモテる

本人は気付いていないのかもしれないが、8割方いやな視線ばかりだ

成績優秀 頼りがいがあって、リーダーシップがとれる

そんなナミは去年から生徒会に入ったため、ますます校内で有名になった

わがままなところもあるが、困っている人はなかなか放っておけないタイプ

そんなナミはクラスでも人気があって、いつも笑顔に囲まれている

前に一度だけ、ゾロはナミの告白される現場に遭遇したことがあった

『前から好きだったんだけど、付き合ってくれないかな?』

相手は1つ上の学年の奴

そんな彼にナミは

『私、お金持ちしか興味ないんです』

と、満面スマイルで返していた

さすがのゾロも固まった もちろん、相手の先輩も

『あ・・・じゃあ無理だね あはは・・・ごめんね』

そう言って、苦笑いしながら立ち去る男

男がナミから数歩離れたとき

『先輩!!』

ナミが男の後姿に呼びかけた

男がチラリと振り返る

『ありがとうございました!!』

ナミは、さっきと同じような笑顔を浮かべていた

それを見た男は、何度も頷いて、一目散に走って行った

あれはダメだろ フったくせに、また堕としてどーすんだよ

ゾロは、率直にそう思ったことを覚えている


もう学校が見えてきている

いつものごとく、集まる視線

「おい、あの男、今日も一緒なのかよ」

「あぁ、A組のロロノアだろ?」

「ナミさんの幼馴染らしいぜ」

「だからって、毎朝一緒に来るのかよ」

横でごちゃごちゃ言っている声が聞こえるが、ゾロは気にしない

「でもよ〜」

そんな中捉えた、1つの声


「悔しいけど、お似合いだよな〜」


その言葉に、ゾロの口元はうっすら緩んだ






(こいつの隣を歩いているのは自分だけだと思うだけで)
(毎朝嬉しくなるなんて)

(子供みたいだ)
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