一日は、扉をノックする音から始まる。


「ビビ様 失礼いたします」


そう言って決まって入ってくるのは、彼女にとって母親のような存在であるテラコッタ。

ビビはのそりとベッドから起き上がり、伸びをして


「おはようございます」


といつもどおり明るい挨拶をした


「今日の朝刊です 今日は載っておられましたよ」


テラコッタが新聞を差し出すと、ビビは目を輝かせてそれを受け取った。


「ここのところ毎日載っているから、新聞を読むのが楽しみだわ」


ページをものすごい速さでめくりながら、ビビは抑えきれない興奮を含んだ声音で笑う

そして、動きはあるページで止まった。

そのページ一面に広がる記事 見出しは「麦わらの一味 またも海軍の船を5隻破壊」

そして一味全員の顔写真が掲載されていた。


「見て ナミさんもロビンさんも髪が伸びているわ とっても素敵」


ビビは女性2人の顔写真を指差しながら、嬉しそうに言う。


「トニー君とルフィさんは見た目はあまり変わっていないけれど、顔つきが逞しくなったわね。 
 サンジさんは髪の毛の分け目が反対になっているわ ウソップさんは相変わらず長っ鼻
 フランキーさんとブルックさんは、会ったことがないからよく分からないけど。」


そうして、最後に指で辿った男。


「Mr.ブシドーは・・・左目に大きな傷 もう見えないのかもしれないわね。」


写真越しに左目の傷を、その白く細い指で滑らかに辿り、溜め息混じりに笑った。

テラコッタは何も言わずに、ただ悲しそうな顔をすると、一日の予定だけ報告して部屋を後にした。

ビビは、一味のページを開いた新聞を手にしたまま、窓の外を見上げる。


「みんな元気にしているのね。」


自然と新聞を握る手に力がこもった。

空を染める水色 昨日雨が降ったとは思えないほどの快晴。


「会いたいなぁ・・・」


窓越しの空に向かって、誰にも聞こえない呟きを漏らした。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -