空中に

そっと手を伸ばす

ゆっくり、しっかり

伸ばした手を握り締めた

今度こそ!!

と、確信したが

標的は、私の手の向こうをただただ、舞っていた

ゆらり、くらり

白い羽を頭に付けて、

自分の長い胴体の動きを、風のみに任せて、

私は、何だか面白くなくて、唇を尖らせる

さっきからこればっか

掴めそうで掴めないんだから、悔しいったらありゃしない

私は恨めしそうに、のん気なそれを睨みつける

もう一度手を伸ばそうか、どうしようかと迷っている間に

少し、さっきより強い風が吹いた

一気に高く舞い上がる、頭に羽を生やした天使

あ〜あ、これじゃあ届かないね

私は、差し込む日差しに目を細めながら

自分のはるか彼方、頭上を見上げて肩を落とす

ゆらり、くらり

たんぽぽの綿毛は、優しい光を一身に浴びながら、気持ちよさそうに揺られていた

こんなことしてる場合じゃない 

早く船に戻らないと、

あの大食いの船長と、大酒飲みの剣士が何を仕出かすか分からない

まだ、あいつらと手を組んで数日しか経っていないというのに、

どうしてこんなに疲れているのだろう

でも・・・


楽しいと思ってしまうのはどうしてだろう


地面に置いていた、自分の荷物を担いで溜め息を1つ

最後にもう一度見上げた

ゆらり、くらり

相変わらずの様子で踊る綿毛

私の心も・・・



ゆらり、くらり

(どうせ、こんなに惑わされるなら)
(あの綿毛みたいに、)
(気持ちよさそうにおちて来たかったな)



* * * * * * * * * *

3人で旅しているころのナミさん1人語りです
怒鳴りながらも、居心地のいい空間だったはず



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