空を見る あいつが浮かぶ

海を見る あいつを思い出す

砂を見る あいつを想い出して

雨を見る あいつが消えた

俺の周りにはいつでも、あいつが居た


「ゾロ〜 また寝てるの〜?」

キッチンの方向から聞こえる、うちの航海士の声

俺は狸寝入りを決め込んだ

「せっかくみかん収穫の荷物持ちさせようと思ったのに・・・」

とブツブツ言っている内容を聞いて、狸寝入りが正解だったのだと確信する

目を瞑って、ただ仲間たちの足音を聞いているだけなのに

やっぱり、あいつの姿が現れた

ユラユラと定まらないあいつの姿は、今にも消えそうで、消えない

こちらに向けた後ろ姿 長い水色の髪の毛が、風のせいか、定まらない輪郭のせいか、揺られていた

あいつが少し振り返る 水色のすき間から見える白い肌

砂漠に住んでいるのに、あいつの肌は誰よりも白かった

あいつが振り返った 俺のほうを見て・・・

『Mr,武士道!!』

―――――満面の笑みを浮かべる


その瞬間、あまりにも鮮明にあいつの笑顔が見えた瞬間

俺は狸寝入りを決め込んだはずなのに、ガバッと勢いよく起き上がった

あまりにもはっきり見えたあいつの笑顔

俺が夢と現実の狭間で見た、ただの幻覚とは思えず、思わず確かめようと思って起きてしまった

現実は、残酷だと言うのに・・・

目の前にあいつの姿はなかった あるはずがなかった

いつでも俺の頭の中にいるから、目を開けばそこにいると思ってしまう 

ダセェ これじゃ無限ループじゃねぇか

俺は自分に呆れながら、刀を抱えなおして、また眠る体勢に入る

ナミに見つかる前に、また狸寝入りを実行せねば

そうやって、いつものように少しの期待を持って、目を瞑る

ついさっき、自分のことを笑ったくせに、何やってんだ、俺


そして俺はまた、狭間にいるあいつに会いに行く



狭間に見える、水色の幻覚

(幻覚と知っていて見に行く俺)
(理由は簡単)

(会いたいだけなんだ)





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10000hitリクエスト ゾロ語りのめずらしいシリアス作品
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