〜もしもシリーズ〜

このシリーズは「もしも〜だったら・・・」という前フリの元に始まる作品シリーズです

*始めに
あくまで「もしも〜」の世界なので、原作と異なる点ばかりです
「原作のままがいい」という方は
観覧しないことをおすすめします

それでもいいという方はお進みください


〜もしもシリーズ〜

もしもパンクハザードでのシャンブルスで

フランキー⇔サンジ
チョッパー⇔ナミ

が入れ替わっていたら



「おーーーい!! お前らーーー!!!」

前方からやってくる大きなワニ

そして、大声を上げながらこちらに手を振るルフィ

私は安堵の溜め息をついた

だが・・・

ズズズズズ・・・

地を揺るがす、何ともいえない音がする

そして、私たちの頭上に影が落ちた

額から流れる冷や汗 ゆっくり上を見上げると・・・

「雪崩だーーー!!!」

目の前で私の体をしたチョッパーが叫んだ

子供たちが悲鳴を上げる

「みんな、走って!!!」

私の大声に、子供たちは一斉に走り出す

目指すは前方のワニ男

だが・・・

『何これ!! 歩幅小さっ!? チョッパーは普通に追いつけてたのに・・・私そんなに走るの遅かったっけ』

明らかにチョッパーの私が置いていかれている

おまけに雪だから、足が取られて思うように進めない

みんなとの間隔が広がるに連れて、後ろから響く音は迫ってきている気がする

『まずい!! 飲み込まれる!!』

私の体に落ちる影が一層濃くなって、思わず目を瞑った瞬間


「三百六十・・・」


普通ならかき消されるはずなのに、耳に届いた小さな声

「煩悩鳳!!!」

風を切ると同時に、迫り来ていた雪の影が消えた

前方を見ると、ゾロが刀を抜いてこちらを見つめている

するとルフィの腕が伸びてきて、私の体に巻きつき・・・

「キャァッ!!!」

勢いよく引っ張った

『ちょっ!! ちょっとちょっと!!』

勢いつけすぎ!! 通り越す!!!

そう思った瞬間、宙を彷徨っていた体が、不意に止められた

「おい!! 大丈夫か!?」

顔を覗き込む、緑髪の男

「ゾロ・・・」

どうやらルフィに引っ張られた私は、ゾロの腕によって止められて雪にダイブする事だけは避けられたらしい

「あ・・・ありがとう」

あははと照れ隠しに笑いを浮かべると、ゾロが不思議そうな顔をする

「・・・チョッパー?」

あ、そうだわ そこから説明しないと・・・

雪崩から逃げ切った子供たちと他の3人も揃い、事情説明に移ったのだった

「これでよし・・・っと」

頭上にくくり付けられたお面

ゾロがしゃがみこんでいた体勢から立ち上がる

「まさかお前がナミだったとは・・・どうりで遅れてたわけだ」

「うるさいわね」

遠回しに足が遅いといわれている気がして、不愉快極まりなかった

他の入替えられたクルーたちもお面をつけている

私の体の頭には可愛らしいチョッパーのお面

チョッパーは普段の私なら見せないような、泣きそうな表情を浮かべて辺りを見渡していた

そして、不意にこちらに視線を向けると

「ゾ〜ロ〜」

と言って近付いてきた

「これからどうしよう ナミの体だから、怪我でもしたらお金取られるかなぁ」

「あぁ・・・ありえるな」

「ちょっと 本人の前でそんな話しないでよ」

そういえば・・・

チョッパーは常日頃よくゾロに甘えている

ゾロもそんなチョッパーが可愛いようで、よく構ってやっていた

だから、私のお面もゾロが付けにきてくれたのか・・・

『これはいいチャンスかも』

何かいいアクシデントが起きたりしないかしら

それからもしばらく3人で話していた

が・・・

『さすがにちょっと首が痛いわね』

チョッパーの身長からすると、私とゾロの背はかなり高い

必然的に見上げる形になるのだが・・・慣れていない私には少々首に堪える

そこで・・・

「ねぇゾロ 抱っこして」

「はぁ!?」

いきなりの発言に、ゾロが眉間の皺を一層濃くして私を見下ろす

「首が痛いのよ いつもみたいに抱っこして」

「いつもみたいにって・・・」

「だって、あんたよくチョッパー抱き上げてるじゃない」

当然のように言ってのけるが、少々気乗りしないようす

中身が私だからって、失礼じゃない?

「ナミ 俺が持つよ 俺、1回自分の体持ってみたかったんだ」

そう言って、チョッパーが笑いながら、私の入った自分の体を抱え込む

「うおっ!! 小っちぇえな」

そう言って、プニプニと頬をつつく

「モフモフしてる 俺ってこんな感じなのか?」

私はゾロに抱っこされたかったんだけど・・・まぁいいか

そうやってしばらくチョッパーに頬をつつかれていたのだが


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」


というウソップの悲鳴が、建物内に響き渡った

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」

その声に驚いたチョッパーが私の体を放り投げる

『えぇっ!? ちょっと!!』

あんた、自分の体でしょ!?

そのまま頭を下に、まっさかさまに落下する体

何でチョッパーの体に入った途端、こんなに危険な目に合うのよ!!

恐怖で自分の顔が引きつっているのが分かる

スローモーションだった視界が、いきなりフルスピードで回転しだした

思い切り引っ張られる感覚 そして、何かに体を挟まれる感覚

はっ!!と気付いた時は、自分の状況がいまいちよく理解できていなかった

体の左側にはゾロの体 私が入ったチョッパーの体に回されているのはゾロの腕だ

そして右側にはチョッパーが入った私の体 その腕は私の体を通り過ぎた、向こうまで回っている

やっと状況を理解した

どうやら、落下する私を、ゾロがとっさに受け止めたらしい

そして、私を放り投げた当の本人であるチョッパーは驚きと恐怖から、いつものごとくゾロにピッタリと張り付こうとしたようだ

が・・・

今は私の体なので、張り付くというより抱きつくような形になってしまっていた

そして、その間に挟まれた私

サンジ君が侍探しに行っていてよかった

「お、おいナミっじゃなくてチョッパー!! 離れろ!!」

抱きつくチョッパーにゾロが慌てて声をかけるが、恐怖で顔を引きつらせているチョッパーには聞こえていない様子

こ、これは・・・なかなか効いてる?

「ト、トラファルガー!!」

「おぉ!! トラ男じゃねぇか」

少し離れた所からウソップとルフィの声がした

抱きかかえられた状態でそちらに視線を向けると、ちょうどこちらを見ていたトラ男がこちらに向かって指を出している

「ROOM」

すると、私とチョッパーとゾロの周りを薄い膜のようなものが囲った

「シャンブルス」

その言葉と同時に、大きく高鳴った心臓

そして・・・

「おぉ?」

斜め下から聞こえるチョッパーの声

「戻った・・・戻ったぞ!!」

喜びに満ちた声を聞いて、私の思考がゆっくりと働き出す

も、戻ったのね・・・

「お、おい!! ナミ!!」

斜め上から聞こえた男の声に、前方から声のするほうへ顔の向きを変えると・・・

「!!?」

「!? いいから、早く離れろ!!」

いきなり視界に移ったゾロのドアップにあたしは思わず目を見開く

・・・そうだ!!!

「うわぁ!! ご、ごめん!!」

私は慌てて、ゾロの体に回していた腕を放した

トラ男のやつ・・・何もあの状態のまま元に戻さなくてもいいでしょ!!

・・・・・・・・・いや、撤回 あのままでよかったわ

腕の中にいる元に戻ったチョッパーと、話している男を見る

その顔がほんの少しだけ赤いのは眼の錯覚でなければいいなと、心で呟いて笑顔を浮かべた



いつのまにか元通り

(でもアイツが私を気にかける回数は)
(元通りではなく前進した)



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脳内ではいい感じの絵で完成しておりますw
小春さんとのメールで唐突に思いついた作品


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