天候は晴れ 季節は秋、ときどき冬

今日の航海も順調である

日付は・・・2月14日 バレンタインデー

あいにく、冬島に到着する前にこの日を迎えてしまった

ちょっと肌寒い秋のバレンタインとは、グランドラインならではである

そんな中

「はぁ〜・・・」

船内では1人の溜め息が漏れっぱなしだった

ネフェルタリ・ビビ アラバスタ王国の王女

今、彼女はとある事情の為、この海賊船でお世話になっている身だ

「こらビビ! 溜め息つかないの」

そんな彼女の背中を叩いて渇を入れているのは、この船の航海士 ナミ

たった2人の女性クルー同士、姉妹のように仲がいい

「これは、日ごろの感謝を込めて渡すものよ? 気にしすぎ!」

ナミは腰に手を当てて、ビビが抱える物を指さす

「で、でもナミさん・・・」

ビビは相変わらずの浮かない表情をしたまま、紙袋を抱える力をより強くした

「あんたは、あいつらに感謝してるんでしょ?」

「それは、もちろんよ」

「だったら気にしなくていいじゃない ただちょっと1人だけ特別な気持ちが入ってるって言うだけで・・・」

「わわっ!! ナミさん、もう言わないで」

真顔で言いのけるナミを、ビビは両手を振って止める

「どうせ他のクルーにも渡すんだから分からないわよ・・・あ、来た来た」

ナミはしゃがみ込んでいた腰を上げて、扉の外へ視線を向ける

扉が無機質な音を立てて開いた

「あれ? ナミさんにビビちゃん まだキッチンに居たのかい?」

「なんだなんだ? 珍しいな〜」

2人の姿を見て、少し驚いたような表情を浮かべる2人

コックのサンジと、狙撃手のウソップだ

「まぁね さ、あんたたちにプレゼントよ」

そう言うと、ナミはどこから取り出したのか、ラッピングされた箱を取り出し2人に放り投げた

「おっ? 何だこれ?」

「バレンタインのチョコレートよ」

「な、ナミさんからチョコレート!!?」

見事にキャッチした2人

ウソップは意外だというような表情を浮かべ、サンジの瞳はもちろんハート型

そんな2人にナミは満面の笑みを浮かべて・・・


「お返し、楽しみにしてるわね♪」


狙撃手の表情が凍りついたのは言うまでもない

「あ、私からもお2人に・・・」

口を開けたまま固まっているウソップと相変わらず体をクネクネさせているサンジに、ビビは近付く

「お、おぉ サンキュ」

「ビビちゃんからも!? あぁ、今日は何てすばらしい日なんだ・・・」

ウソップはおっかない表情を、サンジはより目のハートマークを大きくしていた



「あ、Mr武士道!!」

甲板に出た所で、トレーニングをしていた人物に声をかける

戦闘員 ロロノア・ゾロ

「ん? おぉ、ビビ」

ゾロはバーベルを持つ手を止め、ビビを見上げる

「これ、どうぞ バレンタインです」

そう言って、紙袋から箱を取り出す

「甘いものあまり好きじゃないみたいなんで、中はクッキーにしています」

「おぉ、サンキュ」

ゾロは箱に一瞬、視線を合わせ、またビビを見上げた

「そういやぁ、ナミは一緒じゃねぇのか?」

首を傾げるゾロに、ビビは苦笑いを浮かべる

『ゾロは特別だからね 2人っきりのときに渡したいの』

少し頬を赤くして、そう言っていたナミの表情が浮かぶ

何て返答しようか、迷ったが

「また、後で 夜に渡すと言っていました」

笑顔でそう言った

あながち、間違いじゃないわよね? 夜渡すって言っていたし・・・

ビビの答えを聞いた、ゾロは一瞬目を見開いたが、フッと口角を上げると、視線を前方に向ける

「そりゃ、楽しみだな」

そう言って、不適に笑っていた

この2人を見ていると、こっちのほうが照れてしまう

ビビはそんな2人に憧れを抱きながらも、甲板を後にした


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