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胃が先に死ぬ


oneちゃんねる民の例のスレッドのせいでなんかね、同人誌がね、出回ってるらしいよ。どこにでもそういう趣向の人がいるんだなあと思いつつ、ジェノスがそれを見ないように神経をすり減らす日々。多少依存っ気があるとはいえジェノスはまだ十九歳の青少年なのだ。こんな実の兄とちょめちょめしてる本なんか見たら発狂するに決まっている。実際俺はしかけた。後俺の顔までは出回っていないから想像で描かれたんだろうけど、ゾンビマンさんバージョンもあったりしてほんと誰を恨めばいいかわからないとりあえず皆嫌い。流石にそろそろ俺の胃に穴が空く。

最近さ、ふとした瞬間に胃が痛くて動けなくなる時があるんだよな。病院に行くべきかどうかすごく悩ましいが、俺が病院に行きたいなんて言ったら過保護な二人はどうなってしまうのか。それを考えてまた胃が痛くなるという無限ループ。そんな中とどめのボロス様誘拐事件なわけじゃん。詰んでるじゃん。


「サイタマ氏は俺のことどう思ってる?」
「は?何だよいきなり」


見ている雑誌から顔をこちらに向けもしないサイタマ氏の冷たい反応に至極安堵する。そうそうコレコレ。俺はこういう反応を求めているんだよ。
最近余りにも面倒な方々に好かれるものだからもしかして自分はイケメンなんじゃないかという気さえしてくる。当然イケメンではないので鏡を見て大爆死。人生辛すぎないだろうか。まああと正直に言うなら?どうせ好かれるなら女の子に好かれたかったっていうか?俺も男だから?女の子のハーレムで死ねるなら本望っていうか?現実は怪人と男に挟まれてプチっといきそうなんですけどね。


「お前結局ゾンビマンの新しい家に住むんだっけ?」
「俺のことなのに俺が何も知らないのは何故なんだろうか」


ゾンビマンさんとジェノスで一悶着あった話も初耳だしむしろ知りたくなかったんだけど。この変な怪人に好かれる素敵な神様からのプレゼントのおかげで年々人権が失われていってるのは絶対に気のせいじゃない。神様ころす。


「まあ俺んちでも良かったけど狭いからな」
「サイタマ氏だいしゅきいいい」


このサイタマ氏の突然のデレに号泣してしまうくらいには人並みの暖かさが枯渇している。禍々しい感じのマグマ的な熱さはもういらないんだよね。そこの所よろしくたのみたい。サイタマ氏に抱きついた俺を「気持ち悪!」と引き剥がそうとするが俺はわかっているぞサイタマ氏よ。君が俺を本気で引き剥がそうとしたら首が向こう三軒くらいには吹っ飛んでいるであろうことに。あーサイタマ氏の優しさプライスレス。サイタマ氏の息子が家出して胸が生えたら俺絶対結婚してたよ本当。


「先生、ただいま戻りまし…」
「あ」


キュイーンと機械音を鳴らして停止したジェノスと同時に俺達の空間の空気は停止した。サイタマ氏がめちゃくちゃ睨んでくる怖いヤメテこれ以上俺を追い詰めないで。
サイタマ氏とじゃれついていた俺を偶然見かけてしまったジェノス、その機械で出来た体は動作をとめてしまって!?俺のたった一人の弟、いったいどうなっちゃうの〜!?
次回!「ジェノス、死す」
楽しみにしててくれよな!あ、今口の中超鉄臭い。ペロッこれは吐血―――!?


今のうちに帰りたい。